逮捕「アンドリュー元王子」は今後どうなる…「王位継承順位から除外せよ」の声に即応できない複雑な事情

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実は「剥奪」されていない貴族称号

 英国では何年も前からアンドリュー氏の評判は地に落ち、ロイヤルファミリーの人気投票でもメーガン妃との最下位争いは恒例だった。今回の逮捕も「ついに」「とうとう」「やっと」の文脈で語られているが、これで一件落着というわけではない。現在の英国では「王位継承順位から除外せよ」という声が高まっている。

 アンドリュー氏は2019年に公務から完全撤退した後、次々と身ぐるみはがされ、現在は「元王子」の「アンドリュー・マウントバッテン=ウィンザー氏」である。この過程からすると、王位継承権順位からも即除外できるのではと思えるが、実際はそう簡単な話ではないようだ。

 軍の名誉職や王室後援団体のパトロン職、そのほかの名誉称号は、本人の使用停止宣言による「返上」でカタが付いた。王室称号の「HRH(His Royal Highness=殿下に相当)」は、故エリザベス女王の命による「使用停止」から、チャールズ国王による昨秋の「剥奪」にグレードアップしている。チャールズ国王は同時に「王子」の称号も「剥奪」した。

 残るは3つの貴族称号だが、チャールズ国王が昨秋に講じた処置は、3つのうち最上位の「ヨーク公爵」を「貴族名簿から即時抹消」することだった。つまり、貴族称号は失っていないが、公式文書に掲載される”まっとうな貴族称号”としては機能しない状態にしたわけだ。

「立法化」に伴う時間と手間

 この対応はアンドリュー氏の立場を守るという意図ではない。貴族称号の正式な「剥奪」には立法化が必要となるため、王室の厄介ごとで議会を浪費しないという配慮だった。しかし、王位継承順位とそれに付随する国務参事官(カウンセラー・オブ・ステート)リストからの除外は立法化が必須となる。

 君主の外遊時や急病時に公務を代行する国務参事官は、君主の配偶者および王位継承順位で上位3名の成人がリストに入る。法律上はカミラ王妃とウィリアム皇太子(1位)、ヘンリー王子(5位)、アンドリュー氏(8位)、アンドリュー氏の長女・ベアトリス王女(9位)だ。

 とはいえ、5位から9位の3名は「フルタイムで公務を行う現役ロイヤルファミリー」という条件に合わないため、法律上の“名ばかり国務参事官”である。そこで2022年、チャールズ国王の妹・アン王女と実弟・エドワード王子がリストに追加された。その際に立法化が行われている以上、除外も同様でなければならない。

 王位継承順位からの除外にも別の法律が必要となるが、チャールズ国王が国家元首である英連邦王国14カ国の同意が必要という面倒な条件も設定されている。オーストラリアとニュージーランドは早々に「除外支持」を表明したが、英国の決定と提案を待たない“フライング支持”だ。英国民の声も無視できない英国は早期決断に踏み切るのか、成り行きが注目されている。

デイリー新潮編集部

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