高市首相「日本は強くなれる」が支持され、野田佳彦氏「民主主義が大きく後退する」が反発を招いた「集団心理」とは…野党がハマった“悲観的なメッセージ”の落とし穴
第2回【高市首相に厳しい質問をするのは「イジワル」なのか 逆風からのスタートが生んだ“早苗推し”という社会現象の正体】からの続き──。高市早苗首相を批判すると、“早苗推し”の人々は必ず猛反発をすることが。その一方で、批判されると多くの有権者が溜飲を下げる政治家も存在する。(全3回の第3回)
***
【写真を見る】「激ヤセ」が心配される高市首相 現在と比較すると「まるで別人」
批判されると支持者が反発する政治家と、批判の対象になるとさらに批判が加速度的に増える政治家の違いはどこにあるのだろうか。
経済ジャーナリストの志村昌彦氏は、心理学の専門誌の編集長を務めた経験がある。まずは「高市さんを批判すると許さない」という“集団心理”はなぜ生まれたのか、解説を依頼した。
志村氏は「有権者が“一匹狼”のリーダーを支持する傾向が強くなっていることも指摘できると思います」と言う。
「高市さんが衆院の解散を決めた際、首相だった小泉純一郎さんが2005年に行った『郵政解散』との共通点を挙げる意見が目立ちました。私も同感ですが、小池百合子都知事の都民ファーストの会が2017年の都議会選挙で圧勝したことも加えるべきだと思います。小泉さん、小池さん、そして高市さんの3人は、派閥や業界団体から距離を置く“孤独なリーダー”という印象があり、それが『既得権益層とのしがらみが皆無であり、思い切った政策を断行できる』という有権者の期待を生んだことによって選挙で勝利を収めたのでしょう」
志村氏は「高市さんの人気は田中角栄の人気で読み解くことができる」と指摘する。どちらも資産家や国会議員といった“特権階級”の家庭に生まれたわけではない。社会に揉まれて頭角を現した“庶民派”の政治家という側面があり、2人とも笑顔と力強い演説が有権者を魅了した。
脅迫する政治家
「そして角栄さんが人気を失っていった理由は、彼が“数の力”にこだわったからです。田中派と言えば鉄の結束を誇り、自民党で多数派になることで角栄さんは“キングメーカー”として権勢を振るいました。しかし、こうなると有権者は『しがらみだらけの政治家』と批判の対象にします。高市さんは“高市派”を結成せず、一人孤独に首相官邸で政策の勉強に励んでいます。この姿に多くの国民が共感を覚えていることは『高市さんに対する批判は許さない』という世論と密接な関係があると思います。『一人で頑張っている首相を不当にいじめている』という印象につながりやすいからです」
では叩かれると有権者が溜飲を下げる政治家とは、どんなキャラクターなのだろうか。志村氏は「自民党と野党のリーダーを分析してみましょう」と言う。
「私が注目したいのは財政規律派とされた菅義偉さんと石破茂さんです。そもそも人間心理の大前提として、『人が不快に感じるのは脅迫、強制、自発性の阻害』という点が挙げられます。アメリカの大統領選を分析すると『悲観的な政治家は支持されない』という結果が出ています。菅さんも石破さんも首相だった時、有権者に『日本の財政は非常に悪化している』と危機感を訴えました。つまり有権者に『日本は大変なことになるから一票を入れてほしい』と依頼したわけですが、こうした悲観的なメッセージは『脅されているようで不快』と受け止める有権者が多いのです」
[1/2ページ]


