ロシア美女の斡旋、機密漏洩、習近平氏との関係…「アンドリュー元王子」の恥を上塗りした「エプスタイン文書」と、それどころではない英国政府

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悪化する「中国関連の疑惑」

 2月9日に報じられた新たな疑惑は情報漏洩だった。アンドリュー氏が10年にわたり英国の貿易大使(貿易・投資担当の英国特別代表)を務めた際、香港やシンガポール訪問などの公式報告書と投資関連のレポートをエプスタイン氏に流していたというものだ。追って、そこにアフガニスタンの投資機会に関するレポートも含まれていたことが判明した。

 たとえロイヤルファミリーでも貿易大使守秘義務がある。だが電子メール記録からは、アンドリュー氏が受信の5分後にエプスタイン元被告へレポートを転送していたことがわかった。冒頭でバッキンガム宮殿が表明した「警察への支援」は、反君主制団体「リパブリック」が本件を公職の不正行為として警察に告発したことを受けている。

 アンドリュー氏が英国の国家安全保障における急所となっている疑惑は、これが初ではない。エプスタイン疑惑で金銭的な危機に見舞われた際にはMI5が「スパイ」と目した中国人実業家と接近し、後に「その人物とは縁を切った」とこれまた釈明する羽目に陥った。

 中国関連疑惑は今回の追加公開でも続いている。エプスタイン元被告は2015年11月、LinkedInの共同創業者リード・ホフマン氏に送ったメールで、「アンドリュー王子は中国へ向かっている。彼は習主席とかなりの時間を過ごした」と記していた。アンドリュー氏と習近平氏の公式会談は2016年4月と2018年5月の2回で、このメールが送られた時期ではない。

アンドリュー氏どころではない英国政府

 すべての行動が英国のマイナスにしかならないという絶望的な「元王子」。チャールズ国王が要求していた“質素な家に引っ越し”の件だけは、2月2日に退去が確認された。現在は王位継承順位からの除外や生活費の見直しなど、さらに厳しい対応を迫る声が高まっている。

 だが、現在の英国はアンドリュー氏の処遇よりも喫緊の課題がある。エプスタイン文書における英国のもう1人の主役、与党労働党の重鎮・マンデルソン氏の件だ。昨年9月に駐米大使を解任された理由はエプスタイン元被告との交友関係だが、今回の追加公開により、英国政府の機密情報をエプスタイン元被告に流していた疑惑が浮上。マンデルソン氏は労働党を離党し、貴族院議員も辞任した。

 改めて任命責任を問われたキア・スターマー首相は、5日の演説でエプスタイン元被告の被害者たちに謝罪。マンデルソン氏の嘘を信じて駐米大使に任命したなどと釈明した。8日には、マンデルソン氏を駐米大使に推した首席補佐官のモーガン・マクスウィーニー氏が辞任している。

 この一件には労働党からも激しい怒りの声が上がり、スターマー政権は窮地に陥っている。スターマー氏は先に、アンドリュー氏に米議会での証言を促すような発言をしたが、今となっては似たり寄ったりか。アンドリュー氏の処遇が決まるよりも先に、政権へのダメージが修復不可能になるのではという予測もある。

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