センバツ出場校決定 今年は炎上騒動が起こらずも…選考理由には「時代遅れの称賛」や「不可解な評価」があった
選出理由に疑問
過去には、2003年に前年秋の北信越大会準優勝の福井商(福井)が落選して準々決勝で敗退した福井(福井)が選出された。このほか、2009年には前年秋の東北大会準優勝の一関学院(岩手)が落選して、ベスト4の花巻東(岩手)が選出されるなどの“逆転現象”があった。
前出の監督のコメントのように、秋季大会で決勝に進出したチームが落選し、準決勝で敗退したチームが選出されるのは、やはり違和感が残る。そういう意味では、今年の選考は妥当であり、多くの高校野球ファンは安堵したことだろう。
その一方で、選考委員会の選出理由を細かく確認すると、その内容に疑問を感じたところがあった。犠打を評価するコメントが非常に多かったからだ。主要なコメントを以下にまとめた。
北照(北海道):「打線は走者が出ると確実にバントで送るという攻撃が確立され、効率的に得点に結びつけました」
八戸学院光星(青森):「バントも駆使し、確実に走者を進める手堅い野球も持ち味です」
帝京(東京):「送りバントを交えながら着実に得点する戦術も重視しており、しぶとさを発揮しました」
滋賀学園(滋賀):「攻撃陣は3試合で8犠打を重ねるなど、小技を絡めた攻撃が特長で粘り強さがあります」
東洋大姫路(兵庫):「攻撃では伝統の小技を絡めて得点を重ねるスタイルが健在です」
英明(香川):「攻撃はバントで確実に塁を進める一方で、時には機動力を駆使するなど多彩な攻撃が可能です」
長打力を評価するコメントも確かにあったが、犠打や小技に比べると少なかった。高校野球は昔から多くのチームが送りバントを多用するほか、2024年からは低反発の金属バットが導入され、長打が出にくくなった影響もあったと思われる。
常識とかけ離れた「送りバントへの称賛」
しかし、プロ野球や社会人野球などでは、ノーアウト一塁での送りバントは確率的に得点の期待値を下げることは常識となっている。MLBやNPBでは、送りバントは劇的に減っている状況がある。それにもかかわらず、送りバントを多用する攻撃を称賛することは、「時代遅れ」という感が否めない。
また、花巻東についてのコメントでは「エースの萬谷(堅心)投手は緩急を織り交ぜながら三振をとることができ、制球力が光ります」とあった。だが、昨秋の東北大会の成績を確認すると、3試合で19回2/3を投げて10四死球、5暴投と記録されている。これを見れば、決して制球力が高いとの評価にはならないはずだ。
聖隷クリストファーの騒動が起こった際には、選考過程をオープンにすべきだとの意見がありながら、「詳細は公開になじまない」との理由で却下された。結局、その後も大きく変化は見られない。今年の選考結果自体は不可解なところはなかったとはいえ、現代野球に対する常識とかけ離れた「送りバントへの称賛」や、前述した萬谷の制球力を称えたコメントを見ていると、選考委員会に対してやはり不安を感じた。
出場校が発表された翌日、1月31日。選抜高校野球を主催する日本高野連と毎日新聞社は、選手や審判、スタッフら大会関係者に対して誹謗中傷や差別的な言動をしないよう求めたうえで、「こうした行為があった場合、法的措置を含めて毅然とした対応をとってまいります」との声明を発表している。そのような事態にならないためにも、選考委員会の様子や議事録などあらゆる情報をオープンにして改善していくことが必要ではないだろうか。
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