銀座“100年史”を彩った異色の週刊誌連載「CLUB」欄とは? 銀座の最盛期からバブル崩壊までを見届けた「担当記者」の素顔

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「読者の代表として、銀座を歩いてくれ」

 さて、そんな「CLUB」欄の、記念すべき連載第1回は、どんな内容だったか。

 タイトルは《カトマンズから帰ってきた糸山英太郎議員の「マダム」》。冒頭は、

〈金権選挙でとりわけ有名な参議院議員の糸山英太郎さんは、銀座の「プレイボーイ」としてもよく知られている〉

 とはじまる。糸山英太郎氏(1942~)は、実業家出身の参議院議員だったが、立候補した際、金権選挙だとの批判が絶えなかった。その糸山議員が入れ込んでいた、ある高級クラブのマダム(36歳)が、この第1回の主人公である。

 糸山議員との関係が終わるや、ネパールのカトマンズに流れ、さる男にカネを巻き上げられ、帰国後、三越のデパートガールを経て銀座のホステスとなる。いくつかのクラブを渡り歩き、大手薬品会社の部長さんをパトロンに得た。原宿にマンションを買ってもらい、月20万円のお手当をもらって、銀座ナンバーワン・ホステスに。そして有名なクラブ「H」(記事では実名)の初代マダムに抜擢されるが……。

 と、たった見開き2ページ(400字詰め用紙で8~9枚相当)のなかに、えんえんと、まことに濃厚な女の半生が描かれる。この記事の見事なところは、このマダムの出世と転落を描いていながら、銀座とはどういうところなのかを、一般読者にもわかりやすく説明してくれている点だ。

〈銀座にはバーだのクラブだのと呼ばれる店がざっと二千五百軒もあって、そこに働くホステスが約三万人。が、「ママ」の数は、その一割前後でしかない。もっとも、この「ママ」にもご承知のごとくいろいろと種類がある。自分自身の店を経営する「オーナー・ママ」、パトロンつきのいわゆる「雇われママ」、それに近ごろでは「ママ」の参謀をつとめる「代理ママ」さえ存在する〉

「連載第1回」であることを、ちゃんと踏まえた筆致なのだ。実は、両記者は、デスクのヒコヤさんに、こう言われていた。

「読者のほとんどが銀座のクラブなんて知らないんだから、そういう読者の代表として銀座を歩いてくれ。素人の好奇心が一番。プロになんかなってもらっちゃ、かえって困るくらいだ」(『銀座の女、銀座の客』より)

 両記者は、それを実践していたのである。

【第2回は「『税務署の職員はスミからスミまで読んでいる』との噂も…伝説の週刊誌連載『CLUB』欄が報じ続けた『銀座の歴史』」記者が見つめ続けてきた銀座の歴史

森重良太(もりしげ・りょうた)
1958年生まれ。週刊新潮記者を皮切りに、新潮社で42年間、編集者をつとめ、現在はフリー。音楽ライター・富樫鉄火としても活躍中。

デイリー新潮編集部

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