映画「国宝」大ヒットで「佳子さま」が“総裁”を務める団体に注目…知られざる歌舞伎と皇室の“深い関係”

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坂東玉三郎がモデル?

 イギリスでは2010年6月、サドラーズ・ウェルズ劇場で市川海老蔵(現在の13代目市川團十郎)さん(48)主演の「松竹大歌舞伎 ロンドン公演」が行われ、大盛況のうちに終演を迎えており、英国の演劇界から絶賛されている。

 宮内庁関係者は「異国の地から舞台芸術という視点で歌舞伎を客観視する機会を得たことは、佳子さまに変化をもたらしたようです」と指摘する。佳子さまは2019年11月、天皇陛下が文化勲章受章者や文化功労者を皇居・宮殿に招かれた席にご同席。「国宝」のモデルになったといわれ、この年、文化功労者に選ばれた5代目坂東玉三郎さんとも懇談された。

 玉三郎さんは2012年に「歌舞伎女方」で人間国宝に認定。2019年には演劇・映像部門で歌舞伎俳優として、1995年の6代目中村歌右衛門さんに続いて2人目となる世界文化賞にも選定されている。コロナ禍などによって中止が続き、令和に入って初で、かつ4年半ぶりの開催となった23年の「春の園遊会」では雨が降る中、佳子さまも他の皇族方とともにご参加。歌舞伎俳優で人間国宝の15代目片岡仁左衛門さん(81)とも懇談されている。

「国宝」ではほかに、歌舞伎指導として、宝塚歌劇団の元娘役で参院議長を務めた扇千景さんを母に持つ、人間国宝の4代目中村鴈治郎さん(66)が参加している。エンドロールにも名を連ねており、伝統芸能の支援者は「『国宝』は、工芸の人間国宝らが支える伝統工芸の美術作品が彩り、芸能の人間国宝が誕生していく人間ドラマを、歌舞伎という芸能の国宝の世界を舞台に描いたものなのです」と解説する。

 最後に映画製作会社関係者が、「国宝」の与えた影響について、こう語る。

「伝統芸能と工芸技術の両面から、まさに日本の国宝である歌舞伎を世界に発信していく上で、皇室の存在は陰に日向にとても大きいことは間違いありません。また、この映画が評価されていることは、歌舞伎そのものの評価にもつながっているはずです。アカデミー賞の最高峰に位置する作品賞のノミネートは逃してしまいましたが、カンヌ国際映画祭ではスタンディングオベーションで熱烈な支持を得ています。これはすなわち、ハリウッド映画のような“商業ベース”の映画ではなく、映像芸術の傑作として、世界から称讃を得たものと受け止めていいのではないでしょうか」

朝霞保人(あさか・やすひと)
皇室ジャーナリスト。主に紙媒体でロイヤルファミリーの記事などを執筆する。

デイリー新潮編集部

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