ダルビッシュ有の“男気契約破棄”が好意的に受け入れられない理由 「苦労して勝ち取った選手の権利が…」

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約70億円の報酬を辞退

 ダルビッシュ有(39)引退――パドレスの本拠地サンディエゴの地元紙が1月24日、衝撃的なニュースを報じた。しかし、その日のうちにダル本人が自身のXで、

〈パドレスとは昨年から契約破棄する方向で話をしていますが引退はまだ決めていません〉

 と否定。“契約破棄”を察知した地元紙が、引退と早とちりして、誤報を招いてしまったようである。

 もっとも、早とちりするのも無理はない。2028年まで残っている約4600万ドル(約70億円)の報酬を辞退するというのだから。

 スポーツ紙記者が語る。

「23年、ダルは球団と6年総額1億800万ドル(当時のレートで約142億円)の再契約を締結。40歳をまたぐ長期契約は異例の大盤振る舞いで、ダルも『信じられない。ドッキリを仕掛けられているんじゃないか』と恐縮したほどです」

 ところが昨季は故障で満足に働けず。10月には手術を行い、来季全休が確実となった。そこで、

「彼は、男気を発揮して自ら破棄を申し出、“リハビリを経て投げられる状態に戻ったら再々契約を”と、球団が小躍りしそうな提案をしているらしいのです」

 ダルは24年、“家族に関する個人的な事情”として約1カ月半チームを離れた。これも、“有給休暇”の故障離脱でなく、あえて自己都合を装うことで球団の出費を抑えるという“男気”だったといわれている。

契約社会の常識

 ただ、日本では美徳とされる男気も、合理的な米国人にはクレージーなオファーにしか見えない。

「例えば、かつて大谷翔平の同僚だったエンゼルスのアンソニー・レンドン(35)は契約1年を余して事実上引退しましたが、残りの3800万ドル(約58億円)はそのまま懐に入る。これは、彼ががめついからではなく、契約社会の常識です」

 案の定、男気はハレーションを起こしている。ダルのXにも、

〈現時点ではまだパドレス、選手会、代理人と話が詰められていない状態です〉

 とあるように、

「選手会が“余計なことをしてくれるな”と横やりを入れているみたいです」

 強力な労働組合である選手会は、ダルの“男気契約破棄”が前例になってしまうことで、苦労して勝ち取った選手の権利が侵害されることを恐れているのだ。

「ダルのケースとは異なりますが、佐々木主浩や城島健司が日本球界に復帰するために契約を破棄した際、やはり選手会に非難されました」(メジャーリーグ研究家の友成那智氏)

 いずれにせよ、不惑の復活劇に期待したい。

週刊新潮 2026年2月5日号掲載

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