教師が児童のいじめ被害に気づく“意外なタイミング”…専門家が無償化によって“日本の給食文化”の崩壊を懸念する理由

国内 政治

  • ブックマーク

無償化は保護者にも悪影響

 月に5000円を払っているからこそ「このメニューは貧弱だ」と抗議できる。批判を聞いて「貧弱じゃないよ」と自治体を擁護する保護者も出るだろう。いずれにしても議論の活発化が期待できる。

 だが、タダになったらどうなるか。「タダで給食を作ってもらっているのに、文句を言うのは悪いんじゃないか」と考える保護者が増える可能性がある。誰もが黙ってしまい議論が起きない──。

「さらに心配なのが給食に無関心な保護者が増える可能性です。人間心理として『5000円も出しているんだから、どんなメニューなのか知りたい』という興味・関心は当然のことでしょう。ところがタダになってしまうと、給食の内容に興味をなくす保護者の方は増えると考えられます。つまり給食のメニューをチェックする大人が減ることになるのです。『いくら予算が厳しいからと言って、このメニューはおかしい』と自治体に問題提起する保護者が減ってしまうのは、やはり損失だと言えるでしょう」(同・藤本教授)

 藤本教授は「そもそも『給食無償化』というネーミングに問題があると言わざるを得ません」と指摘する。

無償化の原資は税金

「当たり前ですが、お金が天から降ってきて、それが給食の食材費に充当されるわけではありません。無償化と言っても税金が使われるだけのことで、結局は私たち納税者が払っている税金が巡り巡って無償化が実施されるのです。税金の使い道には厳しいチェックが必要であることは言うまでもありません。ところが無償化は、むしろチェックを甘くしてしまうのではないかと思うのです」(同・藤本教授)

 藤本教授は「興味深いことに先生が子供たちの異変、特にいじめのような問題行動に気づくことが多い場所は、『掃除』、『下駄箱』、そして『給食』なのだそうです」と言う。

「具体的にはジャイアンのような存在の子が弱い立場の子に掃除をやらせているとか、下駄箱で多数の子供が一人の子供をからかっているとか、そういう状況に先生が気づくわけです。給食の場合は、ある子の食が急に細くなったとか、無言で食べるようになったとか、そういう心の中の問題が“食べる”という行為に現れるのです。給食のメリットを挙げると、本当にきりがありません。日本の立派な給食文化を無償化が壊してしまわないか、私たちは気をつけて見る必要があると思います」

 第1回【「給食無償化」に賛成の人は「1食あたり260円」で充分と考える? 食材が高騰する中、専門家があえて“給食費値上げ”を説く理由】では、無償化の支援額は1カ月5200円。これを20日間で割ると、何と1人あたり1食の予算は260円にしかならない。これでまともな給食ができるのか詳細に報じている──。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。