補欠から「準V」の快挙も…センバツ、当確ラインギリギリから大躍進したチーム列伝

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大きな経験になると思う

 一度は選考に漏れながら、補欠校として代役で出場したセンバツで準優勝の快挙を達成したのが、2022年の近江だ。近江は前年秋の近畿大会では、エース・山田陽翔(現・西武)が故障で投げられず、準々決勝で金光大阪に6対0から悪夢の逆転負けに泣いた。選考でも失点の多さから神宮枠を含む7枠に入れず、補欠校になった。

 補欠といっても、同じ地区の出場校が何らかの事情で辞退しない限り、繰り上げ出場できない。ナインは落選の悔しさもあり、目前の春の県大会に対しても、モチベーションが上がらない状態だったという。

 ところが、開幕直前の3月17日、大会第2日に出場予定だった京都国際が新型コロナウイルスの集団感染により出場を辞退し、急きょ近江が代役を務めることになった。

 1回戦の長崎日大戦では、「京都国際さんの分まで頑張ろう!」を合言葉に、完封負け寸前の9回に追いつき、延長13回タイブレークの末、6対2で見事初戦突破、復調したエース・山田も13回を一人で投げ抜いた。

 その後も聖光学院、金光大阪を連破し、代替出場校では史上初の4強入りを実現すると、準決勝の浦和学院戦も2対2の延長11回に大橋大翔の3ランでサヨナラ勝ち。死球を受けた左足を引きずりながら完投した山田の奮闘も感動を呼んだ。

 滋賀県勢の初となる全国制覇がかかった決勝の大阪桐蔭戦は、初戦から一人で投げ抜いてきた山田が3回途中4失点と力尽き、1対18と大敗も、多賀章仁監督は「代替出場でここまで来れるとは思っていなかった。この結果はチームにとって本当に大きな経験になると思う」とナインの大健闘に賛辞を惜しまなかった。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新著作は『死闘!激突!東都大学野球』(ビジネス社)。

デイリー新潮編集部

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