「国宝」はなぜ「国際長編映画賞」を逃したのか…「米アカデミー賞候補作発表」で専門家に聞いてみた

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キャンペーン不足

 今回、米アカデミー賞の国際長編映画賞にノミネートされたのは、「シンプル・アクシデント/偶然」(フランス)、「センチメンタル・バリュー」(ノルウェー)、「シークレット・エージェント」(ブラジル)、「Sirāt」(スペイン)、「ヒンド・ラジャブの声」(チュニジア)の5本だ。いずれもカンヌやヴェネツィアで賞を取っている。

「中でも『シンプル・アクシデント』はカンヌのパルム・ドール、『センチメンタル・バリュー』はナンバー2のグランプリ、『シークレット・エージェント』は監督賞と主演男優賞を受賞しています。そうしたカンヌでの評価だけでなく、この3作は国際長編映画賞に加え作品賞や脚本賞、主演男優賞、主演女優賞などアカデミー賞の主要部門にもノミネートされるほど評価が高い。国際長編映画賞にノミネートされる5作のうち3作は確定と事前に言われていました。『国宝』は最終候補リストである“ショートリスト”には残っていましたが、これらを相手にノミネートされるのは非常に厳しかったと言わざるを得ません」(猿渡氏)

 さらに、キャンペーン活動も足りなかったと指摘する。

「日本ではトム・クルーズが『国宝』の上映会を開くなど売り込んでくれていると報じられていますが、トムに限らず作品とは直接関係のない大物セレブが上映会を主催するというのはよくあることです」(猿渡氏)

 このままではせっかくノミネートされたメイクアップ&ヘアスタイリング賞も危ういということだろうか。

「メイクアップ&ヘアスタイリング賞は撮影賞や美術賞と同様、その分野の職業に就く会員のみ、つまりヘアスタイリストやメイクアップアーティストによってノミネートされます。歌舞伎のヘアメイクはアカデミー会員にとって未知の領域だったはずで、それが評価されたのでしょう。本投票はすべての会員が行うため、やはりキャンペーンは必要です。『国宝』はキャンペーンのスタートが遅く、前哨戦をほぼ逃しました。しかし、それだけにまだ作品を見ていない会員も少なくありません。メイクアップ&ヘアスタイリング賞にノミネートされたとなれば、それを意識して見てくれる会員もいるでしょうから、ここからが勝負どころです」(猿渡氏)

デイリー新潮編集部

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