買い取り店で「なんでこんなに安いんだ!」と怒鳴る客も…「ダイヤモンド」の価格が“下落”し続ける理由 急騰する「金」との大きな違いとは
金地金の価格が歴代最高値の1g当たり2万7000円を突破した。併せて、プラチナや銀、銅の価格までもが高騰している。そのため、ブランド品や貴金属の買い取り専門店には、家に眠っている金製品を売りに来る人が絶えないという。買い取り専門店は雨後の筍のように各地に誕生しており、大盛況のようである。
その一方で、価格がいまいち冴えないのがダイヤモンドだ。品質や加工の美しさによって価格は変動するが、カラット数の小さいもの、色や透明度がそれほど優れていないものの取引価格は“下落”の一途をたどっているという。宝石の王様と称えられ、婚約指輪の定番として愛されてきたダイヤに、いったい何が起こっているのか。【文・取材=宮原多可志】
【写真】価格が落ちている今が買い? 美しく輝くダイヤモンドの姿
買い取り価格の低さに激怒
ダイヤの価格下落の背景にあるのは、高品質な人工ダイヤの普及といわれる。人工ダイヤは色や純度の面で天然ダイヤに劣るイメージが強かったが、近年は一目見ただけでは見分けが付かないほどクオリティが向上した。それでいて、価格は天然ダイヤの数分の一とされる。こうした高品質な人工ダイヤの流通量が増加し、ダイヤそのものの希少性が薄れているため、価格に影響しているのである。
昨今の価値観の多様化によって、ダイヤのステータス性が下がったことも一つの要因だろう。現に、ダイヤ以外の宝石の需要も低下しているといわれる。しかし、そうとは知らずに、金策のため質店にダイヤを持ち込んだところ、提示された買い取り額にショックを受ける人が後を絶たないと話すのは、老舗質店の店主である。
「ダイヤモンドの指輪やネックレスは、バブル期に宝飾店や百貨店で高額で買った人がたくさんいます。価値が下がらない宝石といわれ、一生ものというイメージで盛んに販売されました。ダイヤで飾ることは女性にとってステータスシンボルだった時代で、原価に見合わない高額な値札がついても飛ぶように売れていました。
ところが、現在はダイヤの人気が低迷し、婚約のためにダイヤの指輪を贈る文化も衰退しつつあります。一方で、バブル期は安かった金が驚くほど高くなっている。市場のニーズが完全に逆転しました。当店にもダイヤモンドの持ち込みは増えていますが、提示した金額に納得がいかず、怒り出す人もいます。当時は高額で買っているわけで、怒りたくなる気持ちはわかりますが……」
低品質なダイヤが高額で売られた
買い取り価格に不満を持つ人が多い背景には、主にバブル期に百貨店や宝飾店が販売したダイヤの品質が玉石混交だったことも影響しているという。前出の質店の店主が言う。
「1980~90年代は品質の高いダイヤが市場に流通していた時代と思いますが、それでも品質に金額が見合っていないものも少なくありません。考えられないほど品質の低いものまで、法外な値段で売られていたんですよ。色も透明度も一目見ただけで劣っているものを、とんでもない価格で買わされている人がたくさんいます。
当時は百貨店の外商がお得意様の家に赴いては、押し売りのようにダイヤを売っていたようですが、それでも売れていたんです。中途半端な価格よりも、思い切って高い値段を付けたほうが売れる現象も起きました。しかし、その後はバブルの崩壊とともに需要が冷え込んでしまいました。
市中にあった個人経営の宝石店・時計店は、軒並み閉店に追い込まれました。美術市場などと同じで、バブル期の強引な商法が現在まで尾を引き、需要が回復できない例は少なくありません。そのうえ、ダイヤは高品質な人工品まで出てきているようでは、投資的な魅力も下がってしまう。踏んだり蹴ったりですよ」
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