「山本さんは来年もセリフを覚えられるのか」の声にショックも…名優「山本學」と専門医「朝田隆」が語る“認知症患者の現実”

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対処療法の重要性

朝田:医学の世界には「時に癒し,しばしば和らめ,常に慰む」との名言があります。出典は不明ですが、日本の国家医師試験に出題されたことがあるほど重要な箴言です。どんな名医でも治せない病はある。ただし、対処療法はできる。痛みを取ったり、熱を下げたりすることはできる。そして対処療法だけでも患者さんの救いにはなるよ、という意味です。これを認知症に当てはめると、根本的に治療する特効薬は開発されていない。それでも対処療法で少しは記憶力が向上したり、前向きな意欲が生まれたり、ということはある。80代の高齢者のQOL(生活・人生の質)を維持したり、高めたりすることはできる。だからこそ周囲の人々の「頑張っていこうよ」という声かけが大切だったりするのですね。

 第2回【軽度認知症を公表した89歳の名優「山本學」が語る「老いを生ききる」ことの意義 「いまの僕は“人生の幕を下ろす”ことを考えながら日常を生きています」】では、体力が落ちる「老化」が始まった時、何よりも大切なのは「日常を生ききる」ことだという山本氏の指摘に、朝田氏が孔子と釈迦の視点から答えるという充実の対談をお伝えする。

山本學(やまもと・がく)
俳優。1937年、大阪府生まれ、東京育ち。俳優座養成所を経て1957年に「裸の町」で映画デビュー。その後、「愛と死を見つめて」(TBS)、「天と地と」(NHK)、「八代将軍吉宗」(同前)などのテレビドラマや映画、舞台で幅広く活躍。1978年の「白い巨塔」(フジテレビ)で演じた内科医・里見脩二役は代表作のひとつ。1993年に第18回菊田一夫演劇賞を受賞。

朝田隆(あさだ・たかし)
認知症専門医。筑波大学名誉教授、東京医科歯科大学客員教授、医療法人社団創知会理事長、認知神経科学会理事長。1955年、島根県生まれ。1982年、東京科学大学(旧名:東京医科歯科大学)医学部卒業。国立精神・神経医療研究センター武蔵病院精神科医長、筑波大学臨床医学系精神医学教授などを経て、2015年より筑波大学名誉教授、メモリークリニックお茶の水院長、2020年より東京医科歯科大学客員教授。

デイリー新潮編集部

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