「成金があやしい」「病院の先生が」…50年前の菊花賞で「馬券5000万円分を現金購入」した謎の男、夜の街に流れたウワサの数々

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成金? 病院の先生?

 スポーツ記者は、声をひそめて“成金説”を語る。

「4年くらい前だと“海苔成金”。ある県下の海苔養殖業者がギャンブルに400万、500万円とつぎ込んでいた。2年ばかり前なら“新幹線成金”。新幹線の土地売却で金を握った連中だ。実際、昭和50年の夏、芦屋競艇場の重賞レースで2000万円、本命に賭けた人があった。レースはフライングがあって無効となり金が戻されたわけだ。その人は“新幹線成金”と噂された。実は、今回の5000万円の男、そのときの人と同一人物ではないかと疑ってるんだけどねえ。2年前の人は福岡の人で、40代半ばということだったが……」

 スナックのマスターは“某市の病院の先生”という噂を聞いている。

「この不況のさなか、5000万円も使えるほど羽振りのいいのは、病院の経営者ぐらいしか考えられない。ここ数年、ある市の郊外には新興住宅団地がいくつもできて、そこの個人病院はもうかりすぎて税金対策が大変だそうだ。そういうところの先生が、ええい、めんどくさいっていうんで、パッと使ったんじゃないかな。革ジャンにハンチングなんて、変装にちがいない……」

銀行だけは知っている?

 あれこれ噂の行き交ううちに、北九州の夜も更けて行くが、銀行こそは“ご本人を知っているはずだ”という噂もある。ギャンブル好きで金融機関に勤めているという人の話。

「5000万円の現金の帯封は、A銀行本店のものだったそうだ。したがって、本店はその人物を当然、知っていなければならない。仮に、革ジャンにハンチングの男が使いの者にすぎなくても、金主については知っている」

 この人はさらに、競馬場は銀行と警察に問い合わせたのではないかとも推測する。銀行が「当行のお客さんですから、大丈夫。どうぞご内聞に」としたところで、競馬場と警察が納得し、八百長レースの心配もなさそうだと判断したという見立てだ。

 で、どういう人物なのか? ……となると、この金融マンも返答につまる。「3億円事件」とは無関係かもしれないが、果してマトモな金だったのだろうか。

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「玄人の買い方ではないことが歴然」――第1回【ボストンバッグに分厚い札束が…50年前の菊花賞で「馬券5000万円分を現金購入」した謎の男 競馬関係者が「素人」と推理した根拠とは】では、出来事の経緯と競馬関係者たちの推理を伝えている。

デイリー新潮編集部

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