「ユリ・ゲラーは天敵のようなものでした」 「Mr.マリック」“超魔術”誕生までの種明かし…同業の“大御所”とはマジックスクールの同窓生だった

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緊張と緩和

 当時は「超能力」を売りにする、ユリ・ゲラーがアメリカに帰った後だった。そこで「11PM」ではマジックとはいわずに、「超不思議現象を見せます」と言ってスプーン曲げをやった。ユリ・ゲラーの余韻が残っていることもあり、これが超能力かマジックかと大反響を呼び、マリック人気は不動のものになった。

 マリック流にいうと、こうなる。

〈私はあるものとあるものをたしたことによって生まれ変わることができました。それは、「マジック」と「超能力」…マジシャンは超能力の世界や超能力者を忌み嫌う…ユリ・ゲラーなど天敵のようなものです。それでも私は、あえて混ざることは考えられなかった超能力とマジックをたすことにより、超魔術を誕生させたのです。〉(『Mr.マリックの成功発想術』TOKYO FM出版)

 この成功まで、14年を要したそうだ。

 ホテルでの試みは風が吹けば桶屋が儲かる式に好転し、今に至っている。このインタビューのタイトルは「ターニングポイントになった人生の種明かし」だった。

 このMr.マリックと、手品の大御所・マギー司郎は、同じマジックスクールで勉強した仲だそうだ。二人は風貌もキャラも対照的だが、共演することもあるそうで、キャッチフレーズは「緊張と緩和」。

「マリックさんのマジックは何が起きるかと緊張して見る。僕はたいしたことやんないからホッとする」

 というマギー司郎の話を聞けば聞くほど、噴き出しそうになるのだが……。

 よく知られた有名な手品がある。コップにコカ・コーラを入れてハンカチを被せ3回、回してからハンカチを取る。「ペプシコーラに変わりました。わかります?」というとぼけたパフォーマンス。応用篇はごはん。茶碗にごはんを入れ、「これ、ササニシキです」と言って3回、回してから「コシヒカリに変わりました。わかります?」とやる。このパターンでは塩と砂糖とかもある。

 こういったアイデアは苦し紛れ、追い詰められて考え、思いつくそうだ。

 失敗談も伺った。ギロチンという手品である。きゅうりと大根、それから客に手を穴に入れてもらい、ワンツースリーでギロチンを降ろすと、きゅうりと大根だけ切れるはずが、手が引っかかってしまったという。NHKで生放送に出演した際にトラブルがあり、3~4分も時間がオーバーしたこともある。

話術もマジック

 マギー司郎は、話術もマジックだ。本人曰く「おしゃべりマジック」。

 マジシャン人生はストリップ劇場回りから始まった。こなした数は15年で2万回。そんな中で転機が訪れた。ある時、舞台で本音が出た。

〈「ごめんねー。じつは僕、手品が下手なんですよ~」
 そしたらお客さんが、ふっと笑ってくれたの! 茨城なまりの田舎くさい話し方と、カッコつけない正直な言葉が結びついたとき、おしゃべりマジックのスタイルが見えた。〉(マギー司郎著『生きてるだけでだいたいOK』講談社)

 インタビューではこう語った。

〈ストリップ劇場でやって怒られることが多かったから、「すみません、すぐ終わります」というのが口癖で、いつも謝ってばかりいた。だから、テレビに出た時も「すみません」と出て行く。ダメな性格だし、癖になっているんでしょうね。〉

 まさに「緩和」のテクニックというべきか。
(*マギーさんの話は後編にも続きます)

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