あまりに不可解な「ボブスレー」ミラノ五輪消滅…“連盟のミス”で片づけてよい問題なのか
海外での練習を余儀なくされている
そもそもボブスレーは日本では競技として成立が難しい競技だ。現在の競技人口は50人程度と言われる。リュージュとスケルトンを合わせても130人から150人だという。そんな超少数のアスリートしかいない競技を「オリンピック種目だから」という理由もあって、絶滅危惧種を保護するように一部の有志が支え続けている。いま日本で冬季にボブスレーができる施設はほとんどない。1998長野五輪で建設された長野市ボブスレー・リュージュパークがあるが、10年近く前に存続が協議された際、「利用料収入は年間約700万円。維持管理費と修繕費が2億2000万円」と報告されている。そのため、五輪を目指す日本選手は海外での練習を余儀なくされている。このような状況で「日本にはボブスレーがある」と言えるのだろうか。
一方、連盟の予算書を見ると、想像以上に大きな数字も見える。以下はいずれも3種目合算だが、「受取会費150万円」はいかにも競技人口の少なさを象徴している。だが、「補助金・助成金」は651万5000円。「受取協賛金」は3390万円もある。支出を見ると、「役員報酬」750万円、「従業員給与」876万円。無報酬でなくこれだけの報酬・給与が保証されているのだから、今回の失態は責められても弁解できない。
もうひとつ私が不思議に思うのは、連盟の役員構成だ。会長は前述したとおり、冬季競技の支援にも熱心な建設会社経営者。専務理事は弁護士。副会長兼理事は税理士。ほかに、長野に本社を置く鋼材・金属素材・建設資材等の販売会社社長、研究者など。ソチ五輪ボブスレー代表の元選手、トリノ五輪リュージュ代表の元選手もいるが、大半は競技愛好者ではない。
ここ数年、スポーツ団体の中枢を弁護士や税理士が担う傾向が顕著になっている。パワハラ騒動や会長の独裁が問題とされた時の第三者委員会を中心的に構成するのも、弁護士、税理士。問題の検証はそれでいいかもしれない。だが、スポーツ競技団体の組織運営の中心にまで弁護士、税理士が座る現状には疑問を感じる。本来なら、経営感覚とガバナンス意識を身につけた競技経験者が中心になるべきだと考える。
組織の健全化ばかりに比重を置いた競技団体に、競技への愛情や見識はあるのだろうか。今回の不祥事も、そうした組織の構造が招いた失態ではないかと検証する必要もあるのではないだろうか。



