「岡本和真」「今井達也」の期限ギリギリ契約をまとめた“スゴ腕代理人”…“巨額契約”連発のウラに“吸血鬼”の異名も納得の特殊過ぎる交渉術
特異な交渉術
「岡本の交渉に関して言うと、エンゼルスも彼に興味を示していました。ボラス氏とエンゼルス側が接触しているとの情報は聞かれましたが、レンドンの26年年俸の話なのか、岡本の売り込みなのかはまるで分かりませんでした。ボラス氏は多くの優秀なスタッフを抱えていますが、交渉には一人で臨むので進捗具合も分かりません」(前出・同)
この独特の交渉術が、時には思わぬ敵も作ってしまうようだ。昨年末からマーリンズの球団社長も務めたデビッド・サムソン氏が「ボラス氏批判」を繰り広げている。自身のYouTubeではもちろん、「The Athletic」などのスポーツメディアにも出演し、
「彼はとんでもない人物だということは知っておくべき。理不尽で、筋が通らない。今、この瞬間も彼は常識外れの金額を要求している。年配のオーナーや新参のオーナー、そして、何らかの形で彼の術中にハマってしまった人物を救わなければならない」
と訴えていた。2人の間に直接のトラブルはないらしいが、サムソン氏を怒らせたのはヤンキースからFAになったベリンジャーの年俸だ。5000万ドル(約79億4000万円)級の交渉を続けているとされ、ドジャースからカブスに移籍した23年は成績を再び上げたが、25年のヤンキースでの評価はイマイチだった。
「アーロン・ジャッジ(33)と並ぶスラッガーのホアン・ソト(27)を失い、その穴を埋めるためにトレード獲得した経緯があるからです。打率2割7分2厘、本塁打29、打点98は合格点ですが、25年年俸は2750万ドル(約41億3000万円)。ベリンジャーに興味があっても、ヤンキースの倍近い年俸で売り込まれたら話し合いにならないでしょう。来季31歳になります」(前出・同)
選手側からすれば、この強気な交渉が「自分はまだやれる」のモチベーションにも繋がっているようだが、やはり岡本の交渉にはもっと丁寧さが必要ではなかったか。ブルージェイズ入り後、日本のファンが関心を寄せているのは、岡本がどのポジションを守るかだ。三塁には守備の名手に与えられるゴールドグラブ賞の最終候補にも残ったアーニー・クレメント(29)がいて、一塁には米球界を代表するスラッガーの一人であるブラディミール・ゲレーロ・ジュニア(26)がいる。
日本のメディアは「レフト濃厚」と伝えていたが、外野にはア・リーグ本塁打王争いの常連でもあるアンソニー・サンタンデール(31)、名手のドールトン・バーショ(29)、シルバースラッガー賞3回のベテラン、ジョージ・スプリンガー(36)も健在だ。スプリンガーがDHにまわれば、「レフト岡本」となるが、デービス・シュナイダー(26)、ネイサン・ルークス(31)などの好打者も控えている。ポジションとして空いているのはビシェットの抜けたショートだけだ。
「米メディアを見ると、クレメントがショートにまわって、岡本がサードに入る布陣も予想されていました」(前出・現地記者)
岡本はどこを守る?
日本人内野手の成功者が少ない一因として、肩の強さなど身体的な理由も挙げられているがそれだけではない。日本では内野手は左足を少し前に出して構えるのが「基本」とされる一方、米国の三塁手は「右足」だ。内野フィールドにも天然芝があり、不規則なゴロ打球に対応するためだ。ブルージェイズの本拠地であるロジャーズ・センターは人工芝のドーム球場だが、ビジターゲームでは巨人時代とは違い、右足を前にして守らなければならない。
「天然芝ではなく、人工芝の球場のブルージェイズを選んだのはボラス氏のお手柄かもしれません。でも、ジョン・シュナイダー監督(45)は選択肢を増やすことをチームつくりの根底に置いています。岡本はレフト、三塁、ライト、試合途中から一塁など多くのポジションを守ることになりそうです」(前出・同)
入団会見で岡本はブルージェイズ選択の理由を聞かれ、「娘が(球団エンブレムが)かわいいと言っていたので」とジョークを飛ばした。しかし、通訳は自身が笑うだけ。記者団に「説明してくださいよ」とせつかれても、ちょっと考えてから、「彼はとてもユーモアがあります」と返すのが精一杯だった。
彼のジョークを訳せなかったその通訳は、ボラス氏が用意した自身の事務所スタッフである。





