「バス旅」が新たな代名詞に…徳光和夫が“泣きの徳さん”の次に編み出した“お約束”の強み
夕刊紙・日刊ゲンダイで数多くのインタビュー記事を執筆・担当し、現在も同紙で記事を手がけているコラムニストの峯田淳さんが俳優、歌手、タレント、芸人ら、第一線で活躍する有名人たちの“心の支え”になっている言葉、運命を変えた人との出会いを振り返る「人生を変えた『あの人』のひと言」。第51回は人気司会者の徳光和夫さん。テレビ、ラジオでいまでも大活躍中ですが、その理由が分かる秘話をお届けします。
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「口先だけで建てた家」
年末年始は、お笑い芸人が大騒ぎするバラエティー番組が多い。そんなうるさいだけの番組よりも、松重豊(63)の「孤独のグルメ」や、太川陽介(67)、徳光和夫(84)のバス旅をまったりした気持ちで見ていたいという向きも多いかと思う。
もちろん、筆者もそうである。
「孤独のグルメ」もバス旅も、どちらも楽しみにしているが、太川や徳光に直接、バス旅の話を聞いてみたいとずっと思っていて、アプローチしたことがある。「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」の太川には収録の秘話などが聞ければと思ったものの、実現せず。一方、「路線バスで寄り道の旅」の徳光は快く取材を受けてくれ、同行取材が実現し、南房総の寄り道の旅をご一緒することができた。
同行取材は徳さんの人柄に触れることができるまたとない機会になった。タイトルは「徳光和夫 田中律子 路線バスを語り尽くします」。
「寄り道の旅」の売りは居眠りと食べ歩き。とにかく徳さん、よく眠るし、食べる。
2015年7月だった。南房総編の行程は東京駅八重洲口から千葉・君津、久留里線の久留里駅から鴨川周辺、有名な鴨川の亀田総合病院、外房線安房天津駅、誕生寺、鯛の浦港を回るコース。ちなみに、徳光、田中に加え、この回のゲストは森尾由美だった。
筆者、カメラマンが同行したのは久留里駅から。八重洲駅からの所要時間は1時間半。この間の徳さんは大得意の居眠り放題だったらしい。爆睡1時間。それも大イビキ付き。
田中は「バス中に響きわたりました。オンエアを見たら『(徳光が)オレ、相当やっちゃったかな』と思うかも」と言いつつ、「でも、あのお約束がないと番組がピリッとしませんからね」と、名コンビぶりをうまくコメントしていた。
徳さん、かつて自身の番組で自宅近くを通った時に「口先だけで建てた家」と自虐的な名言を吐いて話題になったことがある。26年の年明け放送の「寄り道の旅」スペシャルでは「(バス旅で)寝る前は涙で稼いでまして」とコメント。かつては感動すると涙もろくなり、「泣きの徳さん」として有名だったことを持ち出し、周囲に大受けだった。
同行取材に話を戻す。徳さんがよく寝てしまうのは、バスの揺れが心地よいからだという。「路線バスの気持ちのよさは15分以上乗りますと、寝られるということですね」と、11年前もまったく悪びれる様子がなかった。
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