「超進学校」のサッカー部員が元日本代表「中村憲剛氏」の言葉に目を輝かせた理由 「駒場東邦中学校」サッカー部が目指す日本一の文武両道
中村憲剛氏が語った「止める」「蹴る」の重要性
そう大会を振り返る稲冨氏は、その後もボールを繋ぐ確かな技術と的確な状況判断の備わった「クレバーなサッカー」の実現に向けて、試行錯誤を重ねている。
「高校になると技術の洗練されたチームとの対戦も増えてくるので、そこにどう立ち向かい、勝利していくのか。僕自身もそのサポートができるように指導にあたっていますが、部員の皆さんも現状に決して満足せず、『高い向上心を持って、より一層頑張ってくれたら』と思っています」
教え子たちにさらなる奮起を促す稲冨氏だが、自身がチームの課題に挙げる技術面の強化に関しては、2年前に行われたJリーグYBCルヴァンカップの特別企画でコーチに訪れた、元日本代表・中村憲剛氏の言葉に感銘を受け、その後の指針になっているという。
「練習をご覧になった(中村)憲剛さんは、部員たちの前で『止める』『蹴る』の重要性を話して下さって、僕らのチームには足りなかった部分なのかなと感じました。そして、部員たちも憲剛さんが目の前で見せて下さった質の高いプレーや、インサイドキックやパス、トラップのような基礎練習への向き合い方には多くの学びがあったようで、その後は一段と空気が引き締まったような印象を受けました」
受験生に希望を与えた
「僕が赴任した頃には想像できませんでしたが、目標に掲げていた全国大会出場を達成し、そこで悔しさを味わった部員たちが奮起し、昨年は3つの勝利を挙げることができた。みんなの頑張りのおかげで『全国の受験生にもサッカーも勉強も両立できるという希望を与えられたのかな?』と思いますが、今後はさらなる高みを目指し、わずかに届かなかった全国中学校の頂点を目指せるようなチームを作っていきたいです」
そう意気込む稲冨氏が指揮を執る駒場東邦中学では、今年も2月1日には中学入試が行われ、4月には約240名の新入生を迎え入れることとなる。
「近年は自分のペースで続けられる個人スポーツに人気が集まりがちですが、チームスポーツでしか味わえない魅力もあると思っています。受験でサッカーを離れていたり、これまで特定のチームに所属していなかったりする生徒も、今ではレギュラーとしてプレーしているので、ぜひ合格を掴み取って、一緒に全国中学校の頂点を目指して頑張っていきましょう」
日本一の文武両道を目指して奮闘する稲冨氏。戦いは、まだまだ続く。
第1回【偏差値66の名門「駒場東邦中学校」サッカー部が全国3位に…監督が明かす「サッカーを続けながら東大に合格する生徒」の特徴】では、全国3位に輝いた駒場東邦中学校サッカー部の監督を務める稲冨貴之氏に、進学校という環境の中で、いかにして強いチームを築いたのか、その秘密を伺った。
[2/2ページ]

