「超進学校」のサッカー部員が元日本代表「中村憲剛氏」の言葉に目を輝かせた理由 「駒場東邦中学校」サッカー部が目指す日本一の文武両道
2026年が幕を開け、本格的な中学受験シーズンが差し迫っている。昨年首都圏では過去40年間で3番目に高い5万2300名の小学6年生が試験に臨んだが、今年も前年と同水準と予想されており、熾烈な激戦が繰り広げられることになりそうだ。
学歴偏重主義に年々拍車がかかる中、都内屈指の難関男子校として知られる駒場東邦中学校は、中学サッカー部が昨年8月に行われた全国中学校サッカー選手権大会(宮崎県/全中)で強豪を次々と打ち破って全国3位の成績を残し、多くの人々を驚かせた。
なぜ偏差値66(四谷大塚調べ・A80ライン偏差値)を誇る超進学校でありながらも、スポーツで好成績を収められたのか。サッカー部を率いる監督の稲冨貴之(いなとみ・たかし)氏にその秘訣を伺った。(全2回のうち第2回)【取材・文=白鳥純一】
【写真】まさに文武両道…名門進学校「駒場東邦中学校」サッカー部の練習風景
区大会予選から全国3位に
日本体育大学を卒業した2014年に駒場東邦中学・高校に赴任した稲冨氏は、同時期に中学サッカー部の指導を任され、限られた環境の中で強化を進めてきた。
地道な強化が実を結んだ2022年、同校としては史上初の関東大会出場に導くと、そこでも3位の成績を収めて全国の舞台に。2024年にも再び全国大会進出を果たしたが、いずれの大会も勝利は掴めず、1回戦敗退で姿を消している。
「全国大会でまずは1勝する」ことを目標に掲げて臨んだ次のシーズンは、新人戦(2024年12月)で全国大会出場経験もある修徳中学と1回戦で顔を合わせるも、1対2で惜敗。4年ぶりにシード権を逃し、区大会からの挑戦を強いられることとなった。
「もしかしたら都大会にすら出場できないのでは?」
一時は稲冨氏の脳裏に不安がよぎることもあったそうだが、それでも試合を追うごとに堅守に磨きをかけて僅差で白星を重ね、都大会、関東大会と勝ち進み、2年連続で全国大会の切符を掴んだ。
「負けてもおかしくないような試合が続きましたが、猛暑の中でも必死に走り、メンバー登録した選手含めサッカー部員全員がそれぞれの役割を全うしてくれた。全員の頑張りで全国3位になれたことを、僕自身も非常に嬉しく思っています」
個人の技術力に差を感じた
トーナメント形式の全国大会では、初戦で和歌山大教育学部付属中学(和歌山県)を1対0で退けて全国大会初勝利を掴むと、2回戦では強豪の高川学園中学(山口県)も1対0で撃破。準々決勝の近畿大学附属和歌山中学戦も最少スコアの1対0で勝利を収めて、準決勝進出を果たすと、ここで地元・宮崎県の日章学園中学と顔を合わせた。
暑さに加えて、海沿いで湿度が高い特有の気候や、地元の大応援団を味方につける日章学園中学との試合は、部員たちが初めて味わう“完全アウェイ”での一戦となったが、その逆境に追い打ちをかけるかのように、前半開始早々に落雷があり、試合は一時中断を余儀なくされた。
「組織力に長けた反面、イレギュラーな状況が苦手な傾向があり、チーム全体の課題でもあるので、僕自身も『もっとできることがあったのでは……』と後悔しています」と稲冨氏が振り返る試合は、試合再開後の前半11分にコーナーキックから失点を許すと、後半にも3失点を喫して1対4で敗戦。確かな手応えを感じつつも力及ばず、ベスト4の3位タイで大会を終えた。
「連戦にもかかわらず無尽蔵に走れるタフさや強靭なフィジカルを備えていて、個人の技術にも差があったように感じますし、全国大会では群を抜いて上手い選手と対戦することになるので、そこに対応できるチーム力を養っていかなければならないと思います」
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