朝ドラ「ひらり」脚本家の内館牧子さん “出たとこ勝負”で生き抜いた人生

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ぶっ飛んで自由

 NHKの元アナウンサー、山根基世さんは言う。

「働く女性向けの番組に出演してもらった縁で親しくなりました。知性的でミーハー、節度や礼儀を重んじる一方、相当ぶっ飛んで自由。対極の気質が何の矛盾もなく混在していました。人間をよく見ていて、自分でも気付いていなかった私のゆっくりとした性格を指摘され、納得した覚えがあります。脚本もエッセイも人間の良い面をつかもうとしていた。意地悪な人物を描いても、そうした言動に及ぶ背景までの目配りを感じました。番組スタッフが内館さんに迷惑をかけた時、本人に直接“ちゃんとやるのよ”と言い、上手に叱っていました。厳しくてもまなざしは温かく優しかった」

女性初の横審委員に

 2000年、横審の委員に任じられ注目の的に。

 相撲ジャーナリストの大見信昭さんは思い返す。

「朝青龍の品格を問題視すると本人に何度も忠告した。親方や日本相撲協会より行動的で気持ちが込もっていた。東北大学の大学院を受験して大相撲の女人禁制を宗教学の視点から研究するほど徹底。発言する以上責任が伴うからと誠実でした」

飾ったり繕ったりがない

 作家、高橋克彦さんが座長の盛岡文士劇の花形でもあった。高橋さんが言う。

「家内以外で遠慮会釈なく本音で言い合えるただ一人の女性でした。脚本や文章と同じで飾ったり繕ったりがない。(08年12月に)盛岡で急に具合が悪くなったのも文士劇の時期でした」

 急性心臓疾患。居合わせた医師である高橋さんの弟の機転で一命を取り留めた。

 この10年は定年退職後の人生や老いに向き合う小説を次々著しベストセラーに。

「終活は遺される他人のためでなく、やり残したことにケリをつける自分軸でいいと昨年も話していたのです」(吉永さん)

 昨年12月17日、急性左心不全のため77歳で逝去。

 いくつになっても挑戦できるという無責任な励ましに惑わされず、老いても今可能なことを存分にすれば後悔がないとの語りかけは、内館さんの歩みそのものだ。

週刊新潮 2026年1月15日号掲載

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