上白石萌音・萌歌、専門家も絶賛する「圧倒的な演技力」 姉妹で際立つ“表現の深み”

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高まる2人への評価

 女優の姉妹には実力派が多い。石田ゆり子(56)とひかり(53)、広瀬アリス(31)とすず(27)。上白石萌音(27)と萌歌(25)もそうだ。このところ伸長著しいのが上白石姉妹である。【高堀冬彦/放送コラムニスト、ジャーナリスト】

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 萌音も萌歌も演技力への評価が高まっている。北海道大名誉教授で映画評論家の阿部嘉昭氏(67)に「今、誰がうまいか?」と聞いたところ、真っ先に名前を挙げたのも萌音だった。

 阿部氏は映画制作者を経て研究者になった映画評論界の権威。テレビ局の顔色を窺うようなところが一切なく、ダメな演技や作品は一刀両断にする。以下、昨年9月11日付の本稿の一部を再録する。

「(昨年公開された)映画『35年目のラブレター』を観て、あらためて萌音さんはうまいと思いました」(阿部氏)

 主演は笑福亭鶴瓶(74)。幼いころに酷く貧しかったため、字をおぼえられなかった。それを隠したまま結婚した相手が原田知世(58)。2人の若き日を演じたのが重岡大毅(33)と萌音である。

「重岡さんがまわってきた回覧板に記入しなくてはならないシーンがあるのですが、字が書けないから動揺する。その手先を上白石さんはじーっと見ていた。ここで普通の演技プランなら、驚きや衝撃の感情が表情に出ますが、萌音さんは違った。表情をほとんど変えなかった」(同)

 それでいて萌音は観る側にさまざまなことを伝えた。

「ほんの僅かな顔付きの変化によって、重岡さんが字の書けないことに既に気づいていたこと、彼がとても悲しい人であると思っていることを表しました」(同)

 字が書けないことを懸命に隠す重岡が不憫だったからだ。そのときの萌音の目には慈愛が浮かんでいた。

「見事な演技で、驚かされました。ありきたりの演技プランをしない人です」(同)

 松村北斗(30)とダブル主演した映画「夜明けのすべて」(2024年)での演技も阿部氏は讃えた。PMS(月経前症候群)のため、月に1度苛立ちを見せるOL役だった。

「小さな幅の演技で、豊かな表現が出来る人」(同)

 萌音は女優にとって欠かせない運動神経が抜群。歌と踊りが好きだったことから、7歳のときから地元・鹿児島の名門ミュージカル教室にも通った。結果的に演技と歌の英才教育を受けた。

 役づくりにも熱心。昨年放送され、テレビ東京のドラマの最高視聴率記録を塗り替えた主演作「法廷のドラゴン」でもそうだった。奨励会に所属していた元プロ棋士の卵から弁護士に転身したという役柄だったため、女流棋士から所作や棋士らしい指し方を学んだ。映像では指し方が堂に入っていたが、収録まで将棋は一度もやったことがなかった。

 弁護士にも扮したため、東京地裁に民事裁判を見学にいった。スタッフから勧められたわけではない。さらに将棋入門書と法律書を買い込み、読み込んだ。もとから読書家なのだ。「夜明けのすべて」の原作小説も出演依頼の前に読んでいた。

 2024年に明治大学国際日本学部卒。俳優は学歴でどうにかなる世界ではないが、8年かけて卒業したのは評価されて良いはず。大学は留年するほど卒業が難しくなるのは知られている通り。単位取得のために協力し合う仲間がいなくなるからだ。努力家なのである。

 仕事が忙しく、卒業までに時間がかかったが、辛いと思ったことはないという。それどころか本人は「楽しくて楽しくて仕方がなかったです」(明大大学誌「Meijing」2025年2月3月25日号)と振り返った。

 主演したTBSのラブコメ「恋はつづくよどこまでも」(2020年)が大ヒットすると、その後はヒロインを演じたNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」(翌年度後期)など少女期の残像のある女性の役が目立つようになったが、今では大人の女性役ばかり。イメージが固まってしまうことを避けられたのも演技力があるからだ。

 昨年は日本テレビ「ちはやふる-めぐり-」で競技かるた部顧問の温和な古文講師を演じた。サマになっていた。役の幅はまだ広がるに違いない。

 人気もある。だからCMが多い。昨年の契約数はサントリー、宝くじ、第一三共ヘルスケア、不二家、日本赤十字社など10社。広告代理店社員によると、萌音は数を絞っており、依頼はもっとあるそうだ。

 CMの選択基準は契約金の額ではない。たとえば病院運営や看護師育成などを行っている赤十字は営利組織でないため、契約金が並外れて安い。それでも出演するのは赤十字に協力したいからだろう。

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