上白石萌音・萌歌、専門家も絶賛する「圧倒的な演技力」 姉妹で際立つ“表現の深み”

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運動神経が良く、読書家

 一方、2歳年下の妹・萌歌は、2020年のインスタグラムに姉妹についてこう書いた。

「同じお腹から産まれたのに、こんなにも違って、こんなにも似てるんだよなぁ~私たち!」

 確かに違う。それなのに似ている。萌歌も運動神経が良く、読書家。演技もうまい。しかし、萌音より雰囲気がややワイルド。やんちゃな女性役も似合う。姉妹ともコメディを得意とするものの、どちらかというと萌歌のほうがハマる。

 テレビ朝日「警視庁アウトサイダー」(2023年)で潜入捜査を行う元演劇部の新人刑事、フジテレビ「パリピ孔明」(同)のとぼけたシンガーソングライター、TBS「イグナイト -法の無法者-」(25年)の茶目っ気ある弁護士。いずれも笑わせてくれた。

 現在も日テレのラブコメ「パンダより恋が苦手な私たち」(土曜午後9時)に生田斗真(41)とダブル主演中。萌歌は仕事も私生活もパッとしない雑誌編集者・柴田一葉(いちは)に扮している。生田は動物の求愛行動を研究中の大学准教授・椎堂司役。2人は仕事を通じて知り合った。

 一葉は大学時代の同級生・牧野真樹(三浦りょう太)と同棲していた。牧野から「話がある」と告げられたので、てっきりプロポーズと思い、胸をときめかせる。しかし待っていたのは別れの言葉。一葉の表情は期待から失意に変わる。

 一葉の心模様は目の前にいた牧野には分からなかった。一葉が胸中を顔に出さなかったからだ。それでも視聴者側には目の力などで分かった。萌歌も小さな幅の演技がうまい。オーバーな演技をしないと内面を伝えられない女優とは異なる。

 萌歌もミュージカル教室に通った。萌音と同じ教室に5歳のときに入った。その教師の勧めを受け、2011年に2人で「第7回 東宝シンデレラオーディション」を受けた。沢口靖子(60)、長澤まさみ(38)らを発掘した名門だ。萌音は12歳、萌歌は10歳だった。

 4万4120人の応募者の中からグランプリに選ばれたのは萌歌。

 萌音は審査員特別賞に選出された。グランプリの賞金は100万円だった。それを得たときの萌歌の言葉が語り草だ。

「父と母にいっぱい服とか買ってもらったので、(賞金で恩を)返したい」

 父は社会科教師で母はピアノ教師。萌音と萌歌にたっぷり愛情を注ぎ込んだのがうかがえた。

 出身校は明治学院大文学部だ。やはり忙しかったため、5年かけて2023年に卒業した。昨年のCMはVISAカード、東洋水産、日本コカ・コーラ「綾鷹」、カンロ飴の4社である。

 1年半前からウェブ版の『POPEYE Web』(マガジンハウス)に「ひとりがたり」と題したエッセイを連載している。身辺雑記が中心で、初めて1人で寄席に行った体験などを書いている。ウイットに富んだ文章で、読むとクスリとなる。

次はドラマ初共演

 萌音も萌歌も仕事上のことは大抵、成し遂げたが、まだ済ませていないことがある。ドラマでの姉妹共演である。映画は「羊と鋼の森」(2018年)で共演したものの、ドラマはない。

「羊と鋼の森」は音楽に青春を捧げる若者たちの物語だった。2人は高校生ピアニストの姉妹に扮した。萌音は内気で自信が持てない。萌歌は明るく才能豊か。それが連弾のシーンでは同等の力を出し、息もピタリと合って、迫力満点の演奏となった。

 ドラマでの共演がなかったのは、萌音と萌歌、所属する東宝芸能も姉妹共演を売り物にしたくなかったからだろう。だが2人の評価は固まった。もう話題作りとは誰も思わない。

 2人ともデビュー15周年。機は熟したと見る。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年にスポーツニッポン新聞社に入社し、放送担当記者、専門委員。2015年に毎日新聞出版社に入社し、サンデー毎日編集次長。2019年に独立。前放送批評懇談会出版編集委員。

デイリー新潮編集部

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