有吉&綾瀬&今田の「ウソ臭い司会」に、若者の「不自然な鼻筋と二重まぶた」が目についた『2025年紅白』 一方で“聴き惚れた”アーティストは

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 2025年末の紅白歌合戦を全編4Kで見た。鮮明な画質でまず目についたのは、若者の不自然な鼻筋と二重まぶた、上だけ異様に白い歯ね。画質の技術向上のおかげで、美容整形や施術の流行と傾向をじっくり観察できた。無粋な出だしだが、いろいろな意味で目が離せなくて楽しんだのよ。

 最も大きな変化として感じたのは、若手の口パク学芸会が微妙に減って、本当に歌がうまい歌手が増えたことだ。グループの全員が聴き惚れるほど魅力的な歌声だったのはBE:FIRSTとHANAだ。心の底からもっと長尺で聴きたいと思った。うなりと艶めかしい歌声のアイナ・ジ・エンドもよかったし、女子が搾取される構図への恨み節と本物志向のプライドを歌ったちゃんみなには気骨を感じた。個性を消す制服を着せられ、技術は向上しない芸能文化の「終焉(しゅうえん)」を肌で感じたよ。

 一方、年輩ベテラン勢には大いに懐古の情をくすぐられた。まさかの堺正章……そうそう、私が子供の頃の年始はマチャアキの多彩な芸に感動してたんだよなぁ。名作ドラマでも活躍し、希代のエンターテイナーだったと改めて思い出した。久々の久保田利伸は独特な息継ぎに「ん? 電波悪い?!」と思ってしまったが、心は一気に40年前へ。「失意のダウンタウン」でデビューしたとき、日本に本物のソウルシンガー現る!って感動したんだよな。懐かしいな。以前から歌声を聴きたかった岩崎宏美、「ラインダンスが嫌だった」と、過去の紅白の演出への呪詛も聞けてよかったわ。松任谷由実の歌声はキツかった。レジェンドの音源のままでいてほしい。変わらないといえば変わらない、でもうっすら違和感を覚えるのが生成AIっぽい松田聖子。歌声には魅了されるけどね。

 個人的に楽しみにしていたのは4組。ハンバート ハンバートは朝ドラ「ばけばけ」の主題歌に抜てきされた夫婦デュオで、その穏やかな歌声と、さりげなく刺してくるとげを含んだ歌詞が好物でね。またVaundyも歌声のポテンシャルの高さに改めて驚愕(きょうがく)。ぶっきらぼうな天才は、協調性と愛想笑いを求める紅白に不向きと思うが、毎年出続けて異なる声を聴かせてほしいな。サメに乗った米津玄師、エフェクトでゲインみあるひずんだ声は曲調に合って、かっこよかった。つうか米津の笑顔を初めて見た気がする。病の苦悩を経て、復帰したサカナクションの山口一郎、破顔一笑に思いをはせたよ。

 あとは「定番の安心感」を。三山ひろしはけん玉ギネスのために、曲をもうちょい長くしたらどうかな。水森かおりは日本一集中されない演歌歌手、今回もドミノとどうでもいい年間ニュースでワイプ多し。純烈は草津から中継、湯もみの湯気としぶきで映らず。みんな苦労人でいい人なのだろう。

 Mrs.GREEN APPLEの大森元貴は歌声も場のつかみ方も完璧で流ちょう、令和のエンターテイナーだと確信。

 司会には苦言を。秒単位の進行に追われ、凍った愛想笑いで台本通りのうそ臭いことしか言わないんだから。今後はアナウンサーだけでいいと思うのだが、どう?

吉田 潮(よしだ・うしお)
テレビ評論家、ライター、イラストレーター。1972年生まれの千葉県人。編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。2010年より「週刊新潮」にて「TV ふうーん録」の連載を開始(※連載中)。主要なテレビドラマはほぼすべて視聴している。

週刊新潮 2026年1月15日号掲載

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