米陸軍「デルタフォース」はどんな「独裁者」でも拘束できるのか 専門家が“中国やロシアでベネズエラの再現は難しい”と語る理由

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 第1回【ベネズエラ“電撃作戦”に世界が震撼…米陸軍「デルタフォース」が世界最強の特殊部隊と呼ばれる理由「戦闘だけでなく諜報のプロでもある」】からの続き──。朝日新聞は2017年3月、「米韓演習に米特殊部隊 暗殺など任務、北朝鮮へ圧力」との記事を朝刊に掲載。3月1日から始まった米韓合同軍事演習にアメリカ海軍の特殊部隊が参加していると報じた。(全2回の第2回)

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 記事で朝日新聞は《米韓は金正恩(キムジョンウン)委員長ら北朝鮮高官の暗殺や誘拐も含む作戦計画を策定している》と伝えた。

 さらに朝鮮日報は、アメリカ陸軍の特殊部隊「デルタフォース」も米韓合同軍事演習に出動すると詳報した(註)。担当記者が言う。

「デルタフォースはアメリカ海軍のネイビーシールズと並び、世界一の特殊部隊と評価されています。1月3日にはベネズエラで『断固たる決意』作戦を実施し、ニコラス・マドゥロ大統領とシリア・フローレス大統領夫人を電撃的に確保、ニューヨークまで移送して世界をあっと言わせました。しかもベネズエラ側は100人単位の死者が出たのに対し、アメリカ軍は数人が軽傷を負っただけで、戦死者はゼロだったのです」

 世界最強の部隊だけあり、準備も入念だった。ロイター(日本語電子版)が1月4日に配信した「マドゥロ氏拘束、精緻な邸宅レプリカで突入練習 入念に計画された電撃作戦」との記事によると、まずCIAが昨年8月から少人数のチームをベネズエラに送り、マドゥロ大統領の日常生活のパターンや隠れ家に関する情報を収集したという。

“人種のるつぼ”が生むメリット

 マドゥロ大統領の邸宅は要塞化されていたが、CIAは内部の詳細な情報を入手。その情報を元にデルタはアメリカ国内に実物大の邸宅を実際に建設し、シミュレーションを積み重ねて突入作戦を練り上げたという。

「実は日本という国は、“独裁国家”に囲まれているとも言えます。北朝鮮、中国、ロシアの3国が近いからです。そのためネット上では、もしデルタに命令が下れば金正恩氏、習近平氏、ウラジーミル・プーチン氏に対しても、マドゥロ大統領と同様の結果がもたらされるのではないかという声があります。ベネズエラであれだけ鮮やかに作戦を成功させたデルタなら、彼らの拉致も可能だろうというわけです」

 だが軍事ジャーナリストは「いくらデルタが世界最強の特殊部隊でも、アジア圏での極秘作戦は難しいでしょう」と指摘する。

「アメリカの特殊部隊が世界最強だという理由の一つに、アメリカが“人種のるつぼ”だという点が挙げられます。潜入する敵地の国民と同じルーツを持つアメリカ人が存在し、軍隊に勤務していることが珍しくないからです。ただし、豊富な人種構成を誇るアメリカ軍であっても、アジア系アメリカ人の数はそれほど多くはありません。そのため白人や黒人のデルタ隊員が北朝鮮に潜入すると、作戦が露見するリスクが飛躍的に向上してしまいます」

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