米陸軍「デルタフォース」はどんな「独裁者」でも拘束できるのか 専門家が“中国やロシアでベネズエラの再現は難しい”と語る理由
中国とロシアでは無理
ただしアメリカ軍と韓国軍は、金ファミリーを対象とする“斬首作戦”を長年にわたって準備しており、猛訓練を積み重ねているという。
「担当するのはアメリカの特殊部隊ではなく、韓国軍の特殊部隊である『ブラックベレー』です。韓国の軍人なら北朝鮮に潜入しても外見的には怪しまれることはありません。アメリカも韓国も金正恩氏に対する斬首作戦を準備していると公言しています。金氏もベネズエラの大統領夫妻が身柄を確保されたと報道で知ったはずで、ひょっとすると自分にも同じことが行われるのではないかと考えたかもしれません」(同・軍事ジャーナリスト)
さらに中国やロシアといった“軍事大国”が相手だと、さすがのデルタでも作戦の成功は厳しいという。
「ベネズエラはアメリカ軍の攻撃により100人規模の死亡者が出たと発表しました。軍隊というのは、それが特殊部隊であっても、やはり戦闘に踏み切ることで任務を完遂します。相手が北朝鮮なら斬首作戦が成功する可能性もありますが、中国やロシアとなると返り討ちのリスクも跳ね上がります。そのため、もしアメリカが本気で習氏やプーチン氏を殺害しようとするなら、その場合は軍隊ではなく諜報機関の出番となるでしょう。スパイに暗殺を命じることになるわけです」(同・軍事ジャーナリスト)
独裁国家に特殊作戦は不可能
一方、「中国の特殊部隊が台湾でアメリカと同じことをするのではないか」と危惧する声も目立つ。だが、これも実現性は乏しいという。
「特殊作戦は、その国の軍事水準が問われる極めて難易度の高いミッションです。さらに国のトップが特殊作戦の立案と準備を軍幹部に命じても、『今の戦力では不可能です』とか『準備に1年かかります』と、たとえ軍の恥になることでも正確な実情を報告する必要があります。いくらトランプ大統領が強権的だとはいえ、専門家である軍人の意見を圧殺するような姿勢は取らないでしょうし、取れないと思います。一方、独裁者の命令は絶対です。軍隊は無理をしてでも作戦を遂行しなければ軍幹部の地位が危うくなります。ロシア軍は当初、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領を拉致しようと特殊部隊を投入しましたが、大失敗に終わりました。独裁国家では特殊作戦がうまくいかないという実例を世界に示したのだと言えるのではないでしょうか」(同・軍事ジャーナリスト)
なぜデルタフォースは世界最強と太鼓判を押されるのか、第1回【ベネズエラ“電撃作戦”に世界が震撼…米陸軍「デルタフォース」が世界最強の特殊部隊と呼ばれる理由「戦闘だけでなく諜報のプロでもある」】では、デルタが誕生した経緯と、意外にも大失敗から歴史が始まったことについて詳細に報じている──。
註1:韓米合同軍事演習に「ビンラディン暗殺部隊」も参加(朝鮮日報:2017年3月14日)
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