仲野太賀、Vシネでヤクザ役・父とは大違い…大河「豊臣兄弟!」初回から見せた「哀愁」

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2人の愉快な掛け合い

 小一郎の存在がなかったら、藤吉郎は盗人の汚名を着せられたまま。一方、腕が立ち、妙に度胸がある藤吉郎がいなかったら、小一郎の命はここまでだった。兄弟での初仕事。この物語は2人で難局に立ち向かうバディものでもある。また2人の掛け合いも愉快でコメディとしても面白い。

 横川は信長暗殺を狙う美濃の大名・斎藤義龍(DAIGO)が放った間者だった。義龍は信長の正室・濃姫の兄で、2人は義兄弟なのだが、激しく敵対していた。なにせ戦国時代。義龍は実父・斎藤道三とも戦い、敗死させている。信長も尾張国の支配権を争った異母弟・織田信行を謀殺したばかりだった。

 藤吉郎が斬り殺した横川の懐には信長の京での足取りを義龍に知らせる書状が入っていた。将軍・足利義輝への謁見のため、信長は上洛していた。義龍の陰謀は信長が先に知っていたため、藤吉郎と小一郎は褒美の対象にならなかったものの、信長のおぼえが良くなったのは確かだった。

 このエピソードの前に小一郎の家族の紹介は済んでいた。どの大河も第1回は主要登場人物の紹介があるため、どうしても進行がスローになりがちだが、それが避けられていた。中村を野盗が襲うエピソードを前半に入れたことがアクセントになり、テンポの良さを感じさせた。

 小一郎の家族はやさしい母・なか(坂井真紀)、気丈な姉・とも(宮澤エマ)、天然気味の妹・あさひ(倉沢杏菜)。あさひは後に徳川家康(松下洸平)の正室になる。

 藤吉郎は盗みを犯し、中村に居られなくなったため、8年前に家を出ていた。小一郎と家族3人は1日1食の貧しい生活を強いられていた。

 それを見越した藤吉郎は小一郎に甘い言葉を並べ、侍になるよう誘う。「おまえを迎えに来たんじゃ。喜べ、ワシの家来にしてやる」。本当に調子がいい。だが、小一郎は平和主義で「争わずに済むなら、それに越したことはない」と考えているから、侍には向きそうにない。

 小一郎が生まれた年は戦国時代の真っ只中。毛利家当主の毛利元就と尼子家当主の尼子晴久が安芸国吉田(広島県安芸高田市)で「吉田郡山城の戦い」を始めたころだった。

 それから時は流れ、第1回の時代設定は1559年だから、小一郎は19歳。中村にいたころから揉め事を解決するのが得意で、のちの豊臣政権でも優れた調整役となる。家康らクセのある外様大名を抱えた豊臣政権にとって、欠かせない存在となる。

 秀吉が1585年に関白となると、秀長は大和国(奈良県)、紀伊国(和歌山県全域と三重県の一部)、和泉国(大阪府南西部)を与えられ、郡山城(同県大和郡山市)の主となった。もちろん秀吉の一番の重臣だった。

 ただし、それまでの兄弟は苦難続き。秀長は秀吉の政務を補佐しただけでなく、長宗我部元親を相手にした同年の「四国攻め」では10万を超える軍勢の総大将を務めた。秀吉の代理だった。

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