「婿に来てほしい」と言い出せず… 宮城県登米神社の「27歳女性権禰宜」が“巡り合うべくして会った”お相手とは

ライフ

  • ブックマーク

黙っていたこと

 12月9日、石巻市に映画を見に行く。大学生で車のなかった彼をなな子さんが乗せた。その帰り道、駅まで送ってもらった彼はロータリーで「好きです。かわいいところ、明るいところ。一緒にいてこっちも楽しい気持ちにさせてくれます。これからも一緒にいたいから付き合ってください」と丁寧語で長めの告白。彼女は「ハイ」と短めに応じた。

 実はこのとき、彼女は彼に黙っていたことがあった。母の後を継ぎ、登米神社40代目神主となるため、結婚は婿を迎えなくてはならないことだ。「うちに来てくれそうか、こそこそ考えてました」と打ち明ける。

 だが正月を迎える準備で忙しくなり、数日後にカミングアウト。彼は驚いたが、実は父方の家系に神主がおり、神道式の葬儀で玉串を供えた経験もあった。巡り合うべくして会ったのかも。

東京タワーに見守られて

 交際中から自然と結婚後の話が多かった。「指輪はここ、披露宴はここ」と現実的な話は着々と進む。だからこそプロポーズだけは「ロマンチックにしないと断るかもしれないよ?」となな子さんから“注文”が。彼はなな子さんに手紙をねだられると「会社の封筒で渡してくるような人」(なな子さん)だったが、このオーダーに一念発起した。

 24年11月1日、求婚の舞台に選んだのは東京・芝公園の「ザ・プリンス パークタワー東京」。実はこの年3月に事故で急逝した彼女の父がプリンスホテルでかつて働いていた縁もあった。

 東京観光を楽しんだ後、部屋に入るとハート形の鶴のバルーンにシャンパン。

 彼がカーテンを開けると、目の前になな子さんの大好きな東京タワーが。「一緒にいてほしい」と彼。なな子さんは「で?」とさらなる言葉を求める。「結婚してください」「はい」。東京タワーに“証人”になってもらいながら受け入れた。

 25年1月23日に入籍。犬の七五三で忙しくなる前に挙げた神前式は、雌の黒豆柴2匹が巫女となり、近隣の神主がそろう盛大な式となった。神主となる予定の彼女は白無垢ではなく、神主の正服で臨んだため、26年4月に予定している披露宴では「思い切ってドレスを着たい」と意気込む。

 子どもは3人ぐらい欲しいという二人は、新婚旅行で25年4月に訪れた宮古島をいたく気に入り、「老後は定期的に宮古島や沖縄本島を訪れたいね」とも約束している。神に導かれた二人の将来のニライカナイ(理想郷)となりそうだ。

週刊新潮 2026年1月1・8日号掲載

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。