闇バイト連続強盗事件「警察はシグナルを完全に“攻略”できたわけではない」首謀者たちの“油断”が突破口に「18件すべてを挙げるのは厳しい」という見方も

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点と点を結ぶ捜査

 強盗事件の合同捜査本部ではすでに福地容疑者らの名前は浮上していたというが、有力情報や証拠があったわけではなかった。そのため、傷害事件に着手した千葉県警の捜査員は強盗事件の被疑者とはしていなかったという。だが、この傷害事件が強盗事件を動かす突破口となったのだ。

「千葉県警はこの事件の摘発の際、3人の関係先へガサに入り、複数台のスマートフォンを押収しているのですが、そこで一部消える前のシグナルのやり取りを抑えることに成功した」(同)

 その分析により、福地容疑者が別の仲間らとシグナルを使って特殊詐欺を繰り返していたことが判明。そして特殊詐欺事件と強盗事件をつなぐキーパーソンが浮上した。昨年12月、横浜市青葉区で発生した強盗殺人事件の回収役として逮捕された保坂海斗被告である。

「同時期に起こしていた回収役の仕事なのだから、特殊詐欺事件と強盗事件の発注者は同じである可能性が高い。保坂被告もシグナルで上から指示を受けていたため、自分に指示を出していた人物が福地容疑者だと認知していなかったが、どのアカウントからの指示だったかはわかっていた。また保坂被告は公園に強奪した金を置いていたが、別の回収役を介して最終的に福地容疑者の元へ届けられていたことも裏付けられた」(同)

 これらの情報に加え、村上容疑者が数カ月前に別件で逮捕された際、押収したスマホからは、闇バイトをリクルートするための指示役同士のシグナルのやり取りが見つかっていたという。

 こうして点と点を突き合わせながら、警察はまず福地容疑者を昨年8月から特殊詐欺事件の容疑者として立件していき、昨年12月、とうとう他3人と共に連続強盗事件の首謀者として逮捕するに至ったのだ。

18件すべてを立件できない可能性

 だが、積み上げていった事件の構図の中には少なからず“穴”はあるという。

「警察は18件すべてを4人を含むグループが首謀したとみていますが、すべての事件を挙げられるのは難しそう。やはりシグナルのやり取りの大部分が消えているからであり、点と点を結びつけるだけでは犯行を立証できない事件もあると見られている」(同)

 もし3人が強盗事件に専念し、別の傷害事件を起こさなかったならば。さらに「消える機能」をもっと徹底して使いこなしていたならば、

「警察は首謀者逮捕に漕ぎ着けなかったかもしれない。今後も警察にとってシグナルは大きな壁として立ち塞がるでしょう。ただし、所詮は人間のやること。いくら犯罪者に都合のいいツールだといっても、今回のようにボロが出てしまうとも言える」(同)

 では、首謀者たちにとって痛恨のミスとなった「30代男性が被害にあった傷害事件」とはどのような事件だったのか。

 後編【「闇バイト連続強盗」指示役の“仲間”はいまも海外逃亡中 ガーシー事件と同じく官報に「旅券返納命令」が出ていた】では、首謀者たちが起こした傷害事件の詳細と「もう一人いる被疑者」について詳報している。

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