「今年はクマの出没数は減る」と専門家が指摘する理由 「ただ、来年また“熊パニック”が起きる可能性も」

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 2025年4月から11月末までのクマによる人身被害者は全国で230人、そのうち死者は13人に上り、史上最悪の事態となった。26年もクマの出没におびえ続けねばならないのか。

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 本来、クマは11月下旬から12月ごろに冬眠を始めるのだが、今なお被害は収まらない。12月20日には、宮城県大和町の山林で80代男性の死亡が確認された。男性は猟友会に所属するいわば“プロ”。近くにはイノシシ用のわなに片足が引っかかった体長1.3メートルのメスのクマが見つかり、後に駆除された。

 いったいなぜこれほど多くのクマが出没するようになったのか。

「25年は人の生活圏でのクマの活動がかなり活発化しました。これは、山におけるクマのエサが非常に少なくなってきていることと関係しています」

 と語るのは、岩手大学農学部准教授の山内貴義氏。

「クマのエサにはブナの実などがありますが、特に25年はブナが大凶作だったようです。私は山へ調査に入ることが多いのですが、パッと見ただけでも、やはり25年はほとんどブナの実が見つからないということが確認できました」

「26年はクマの出没数が抑えられそう」

 山内氏によると、ブナの実の量は、木が持つ年単位の周期に依存して決まる。長期的な時間軸では、地球温暖化も凶作に影響している可能性があるが、実りの豊かさを決める主な要因は、木そのものが持つサイクルだという。そして、

「23年は大凶作で24年は豊作、次いで25年は大凶作ときており、これはクマの出没頭数との明確な負の相関が見られます。そして私たち専門家の間では既に、26年はかなり実りがあるのではないかということが予測されているので、クマの出没数も抑えられるのではないかといわれています」

 なんと、26年はこんな騒ぎにならないというのだ。

クマ被害対策パッケージの課題

 ただ、安心できるのはつかの間に過ぎない。

「秋にクマが大量に出没する年は、一般的にいって5年に1度くらいの周期でやって来ることが知られていました。ところが、ここ数年はそのスパンが1年おきと短くなっているのです」

 次のシーズンにはまたぞろ“熊パニック”が起きそうなのである。

 それに備えるためにも11月に策定された“クマ被害対策パッケージ”の実効性ある運用が求められるものの、

「即効性は期待できません。ガバメントハンターや新米ハンターを育成し、緊急銃猟などで撃てる人員を早急に増やそうとしているわけですけど、私は懐疑的です」

 緊急銃猟には技術やクマの生態に関する理解が不可欠だが、これを短期間で養うのは困難だという。

 また、

「緊急銃猟を行う際は、長期的に培った人間関係こそが重要になります。書類上は市町村の許可があれば発砲できることにはなっていますが、現場はそんなに単純ではありません。周辺住民の避難や安全確保、発砲のタイミングの調整など、全てにおいて細やかな現場のコミュニケーションが求められるのです」

 避難には町内会長や周辺住民との人間関係が関わってくる上、現場の安全確保には警察官とハンターとの信頼関係が不可欠だ。

「だからこそ、日頃から積み重ねられた人間関係に基づく話し合いが、現場では重要になってくるのです。クマ被害対策パッケージによって短期間で養成された新米ハンターに、それが可能であるかは疑わしい。現場に来ても“あんた誰?”ってなってしまいますよ」

“喉元過ぎれば熱さを忘れる”ではダメ。クマが消えても、備えあれば憂いなし。

週刊新潮 2026年1月1・8日号掲載

特集「2026年丙午ニッポン『7つの難題』」より

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