漫画家が“自ら原稿を売る”切実な事情とは…「カラー原稿は100万円を超えることも」「連載時の原稿料よりも高く買ってくれる」
若い漫画家は貯蓄を考えたほうがいい
――失礼ですが、先生は現在、貯蓄はどんな感じなのでしょうか。
A:今もスーパーマーケットで品出しのアルバイトをしていますが、原稿を売り始める前は、収入が家賃と生活費に消えていたので、蓄えはほとんどありませんでしたね。今はありがたいことに、原稿を買ってくれる人がいるおかげで、外食できるくらいのお金は得られています。賃貸物件に住んでいますが、問題なくやっていけています。
売れているときはファンが買ってくれた単行本の印税が、今は残しておいた原稿が私を助けてくれている。本当にありがたいことです。
――若い漫画家に対して、思うことはありますか。
A:漫画家をやっている若い人たちは、貯蓄や投資などを真剣に考えたほうがいいと思うよ。私は最盛期で年収が4000万円くらいあり、その水準が何年も続き、税金を払う側でした。ところが、連載が終わると単行本も売れなくなり、あっという間に絶版になってしまった。すると、収入がパタッとなくなってしまいました。
40代後半に、自営業の厳しさに直面したのです。貯金を切り崩して生活していましたが、それも限界になりました。私がバリバリ漫画を描いていた20代の頃は、出版社も同業者も羽振りが良かった。だから貯蓄なんて考えず、入った印税はどんどん使ってしまいました。今となっては、なんて馬鹿なことをしたんだろうと思いますね。
――それでも、原稿という資産があるおかげで、先生の生活は成り立っているわけですね。
A:その通りですね。あと、そういう意味では、若い人たちのことがますます不安になります。彼らは原稿をデジタルで作っているから、データしかないでしょう。紙と違って一点物じゃないから、高額では売れないでしょう。だから、繰り返すようだけれど、漫画家は貯蓄をしておいた方がいいと思う。儲かってもくれぐれも浪費はしないこと。私から言えるのは本当にそれだけですね。
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