【実録・昭和の「離婚」相談所】「愛人ができた」から「あなたのすべてが嫌い」まで…赤裸々すぎる実例から始まる温故知新
意外と効果的な「手紙作戦」
依頼者は大学教授、警察官、ガードマンなどさまざま。N社長は女性が多いと予測していたが、実際は男女ほぼ半々、女性が少し多い程度だったという。男女合わせて離婚を望む理由の1位は「愛人ができた」で、全体の3割ほどを占めていた。
〈「しかし、そのことを隠して“離婚したい”と言ってくる人もいるし、実態は4割くらいでしょう。女の人は隠す人が多い。40歳代の女性で“慰謝料も、家も、子供もいりません。ともかく別れたいんです”というのは、まず受け皿があると見て間違いありません。男性の場合は、愛人と一緒に来て“この女と結婚したいので別れさせてください”なんてのが結構あります。それ以外の理由は性の不一致、舅、姑との折合いが悪いケースですね」〉(N社長)
「愛人」とは、今で言う“不倫相手に本気になる”パターン。現在は高額の慰謝料をめぐるバトル勃発の要因だが、昭和の時代はどこかのどかである。たとえば、妻側に離婚を納得させる際の典型例はこうだ。
〈「訪問すると、最初は感情的になる人が多い。そういう時は相手が離婚を考えていることだけ伝えて、“考えて下さい”と言って引き下がります。それからは手紙作戦。他の離婚事例なども書き添えて、ともかく膝を交えて話し合いたいと訴える」〉(コーディネーター)
人の心は横を向いたら終わり
1週間後ぐらいに再訪すると、ほとんどが話し合いに応じたという。そこでコーディネーターと話すうちに、愛人騒動よりも前から存在していた夫との食い違いに気付いて、妻側からも自然と離婚へ動く……という流れである。
対して、妻に愛人ができて夫に離婚を納得させる場合。
〈「女性の場合、愛人と一緒になれれば慰謝料も何もいらないという人もいます。が、まず愛人の存在を伏せておき、夫に慰謝料の請求や親権を要求します。離婚を持ちかけられて怒った夫は、“慰謝料なんか払えるか。子供もお前なんかにやらんぞ”とくる。次にタイミングを見て、“実は奥さんは何もいらないと言っている”という話をもちかけると、案外あっさりと離婚届に判を押す人が多いんです」〉(N社長)
どちらも人間臭いやりとりではあるが、やはりどこか牧歌的だ。そして、「愛幸センター」は現代に通じるセオリーも明言する。
〈「いずれにせよ、愛人と別れさせるというのは、まず無理です。人の心は横を向いたら終わりなんですよ」〉(コーディネーターチーフ)
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