22億5000万円の国費が支出された「平成の大嘗祭」 “口外無用”とされてきた「秘儀」の内容とは

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「歴史的に口外無用とされてきたことを明らかにすべきでないという異論も」

 秘儀での天皇の具体的な所作は、2回に分けて主要な建物の悠紀殿と主基殿の奥(内陣)に入り、寝座の周りを通って御座(ぎょざ・90センチ四方)に着く。二つの敷物を挟んで「神座」が伊勢神宮の方向に向けて設けられており、天皇はここで神と対座する。二人の采女(うねめ・食事などの世話をする女官)の助けを得ながら、新穀で作ったご飯やお酒、魚、果物など多様な食べ物をピンセット状の竹箸で盛り付け、神前に供える。国の安寧と五穀豊穣を感謝、祈念する御告文(おつげぶみ)を読み上げ、直会(なおらい)として天皇自らもご飯やお酒を召し上がるというものだった。

 宮内庁幹部はこう補足した。

「歴史的に口外無用とされてきたことを明らかにすべきでないという異論も、宮内庁内にはあった。しかし、事実でもないことが外国にまで流れ、誤解を招いているのに沈黙を守るのはおかしいと、最後は藤森昭一長官が決断したのです」

 併せて英文で解説したパンフレット「ザ・ダイジョウサイ」が作られ、外国マスコミ向けに配布された。

 また、掌典の幹部は、

「(天皇が大嘗祭で神格を得る説を否定する記事を)記者会はよくぞ書いてくれました。もう天皇の秘儀はなくなった」

 と筆者に語った。

 これで大嘗祭の内容が明らかになってきたが、神道色の濃い宗教的行事であることは間違いない。最大の問題が、大嘗祭の費用を国費で賄うかどうかであった。

 後編では、京都の桂離宮に迫撃弾が撃ち込まれるなど、大嘗祭の後に相次いで発生したゲリラ事件などについて報じる。

斉藤勝久(さいとうかつひさ)
ジャーナリスト。1951年東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。読売新聞社会部で司法を担当したほか、86年から89年まで宮内庁担当として「昭和の最後の日」や平成への代替わりを取材。近著に『占領期日本 三つの闇 検閲・公職追放・疑獄』(幻冬舎新書)など。

週刊新潮 2025年11月20日号掲載

特別読物「ドキュメント『平成の大嘗祭』口外無用とされた新天皇の“秘儀”はなぜ明かされたのか」より

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