「毎月120万円」の高額治療を可能にしたのは、「大暴落」前の全株売却だった… 森永卓郎さんが明かしていた“前向きすぎるがん闘病記”
「実感で言うと、そう長くもたないかもしれないな」
それでも、森永さんは決して“甘い考え”は抱いていなかった。
「もちろん、いつまでもいまの拮抗状態がずっと続くとは考えていない。がんという病気で『即死』することは稀だが、悪化し始めると、あっと言う間に命を落とすことも事実だ。最近、ご主人をすい臓がんで亡くした漫画家の倉田真由美さんの話を聞くと、亡くなる1ヵ月前までは、とても元気で自転車にも乗っていたし、亡くなる前日にはまぐろの刺身を食べていたとのことだ。免疫細胞とがん細胞が『関ヶ原の合戦』を続けるなかで、少しでも戦力バランスが崩れてがん細胞が優勢になると、一気に雪崩のような現象が起きて、命を落としてしまうのだ」
実際、森永さんもその通りとなった。年明けまでは体調にそれほど変化はなかったが、1月中旬から異変が起きたようだ。1月27日に出演したラジオ番組で言っている。
「先週の放送が終わった後くらいから、ちょっと容体が急変してですね。本格的な転移が始まったようで、右の脇腹のところに一気に痛みが出てきたんですね。今は医療用のモルヒネを打って痛みを抑え込んでいるんで、こうやってしゃべれるんですけれども、この1週間はほとんど何も食べていないのでパワーがなくなっちゃった。ろくに歩けなくなっている状況で、今日お医者さんに来てもらうことになってるんですけども。実感で言うと、そう長くもたないかもしれないなと言うのが個人的な感想です」
がん細胞が関ケ原を越えて、一気に免疫細胞を制圧しに来たのだろう。
そして、その翌日、息を引き取った。
森永さんは手記でこう述べている。
「正直言って、私は3ヵ月先に確実に命が続いているとまでは思っていない。だから、命が尽きるまでの期間は、つらいこと、苦しいことをせずに、自分が楽しいと思うことだけを思い切りやる。フルスイングで生きるのだ。命が尽きるまで、フルスピードで走り続け、運命が尽きた日に、前向きに倒れる。それが、いま私が考える『ガンとの向き合い方』なのだ」
その生き方を貫いた、1年3カ月の闘病生活だった。
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