歌舞伎町ホストの「6割」がチャットGPTを使っている? 「女性客に送る営業LINEを考えさせたり…」

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大学院生の“歌舞伎町ライター”

 全世界で8億人が利用するチャットGPTが、日本では意外な人たちの間ではやっている。東京・新宿の歌舞伎町で働くホストやホステスなどのナイトワーカーだ。それを調べたのが「歌舞伎町ライター」の佐々木チワワ氏である。

 佐々木氏によると、これまで、400人以上のホストを対象に聞き取りをしたところ、6割以上がチャットGPTを利用しているという。そもそも、どうしてそんな調査をしようと思ったのか。

「私はライターとして仕事をしている一方、立命館大学の大学院生でもあります。今年の夏、『日本財団HUMAIプログラム』に、ホストとAIに関する研究テーマを提出したところ奨励金対象に選ばれたのです。同プログラムは人文社会×AIをテーマに人文社会領域に関心を持つ大学生・大学院生・ポスドクを対象とし、どんな研究ができるのかを広く募集したものです」

ホストにぶつけていた不安の感情を……

 調査は8月から始まったが、歌舞伎町での取材を基に4冊の著作を上梓している佐々木氏にとって、ホストへの聞き取りはお手の物だ。

 狭い歌舞伎町では誰かが「便利なアプリ」を使い始めると、伝染するように広まるという。

「彼ら(彼女ら)には会社員のような“AIスキルを身に付けなければ”というプレッシャーはなく、時間も比較的自由です。生成AIに触れるハードルが低いことも、流行を後押ししているといえるでしょう」(佐々木氏)

 調査で分かってきたのは、同じ歌舞伎町で働いていても男性と女性とではAIの使い方が違うということだ。

「例えば、女性の場合、今までは指名ホストや友人にぶつけていた不安の感情をAIに向けるようになっている。最近はチャットGPTに話を聞いてもらったり慰めてもらうのです」(同)

生成AIに“壁打ち”

 一方、ホストでは、

「多いのは、女性客に送る営業LINEをチャットGPTに考えさせるというものです。何百万円というお金が動いている世界で顧客との関係性を築く際にAIが作るより良い文章でコミュニケーションを取る。あるいは、顧客数があまりに多くてさばき切れていない場合にAIを頼るような事例が見られます。彼らはテニスの“壁打ち”のようなやりとりを生成AIと交わし、LINEの内容を、チューニングしているのです」(佐々木氏)

 チャットGPTを運営する「オープンAI」のサム・アルトマンCEOも思わず膝を打つような使い方ではないか。

 AIによって社会がどう変貌するのか、人類はまだ見通せていない。歌舞伎町のホストが、その先端を走っているのかも。

週刊新潮 2025年12月25日号掲載

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