藤川阪神が“ドリスと再契約”の理由…球団史上初「セ・リーグ連覇」のカギを握る「右のリリーバー」問題

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登板過多のリリーバーたち

 そのドリスの25年シーズンの成績は、20試合に登板して2勝2敗、5ホールド。防御率は1.93だった。「右のリリーバー」をチーム全体で見てみると、石井大智(28)の53試合登板を筆頭に湯浅京己(26)が40試合、退団したネルソン(30)とドリスが20試合ずつ、工藤泰成(25)が18試合、ハートウィグ(28)16試合と続く。

 自由契約の漆原大晟(29)、ゲラ(30)、ビーズリー(30)などを入れると、退団した右投手だけで喪失したイニング数は約90、ドリスも辞めていたら100イニングを超えていた。

「石井の登板過多も心配です。24年も56試合に登板し、23年も44試合に投げています。50試合連続無失点のプロ野球記録を大幅に塗り替えた活躍はさすがですが、今年の日本シリーズ第5戦でソフトバンク・柳田悠岐(37)に同点2ランを喰らったのは体力的な理由もあったのかもしれません」(前出・同)

 阪神の救援防御率は1.96。他球団からすれば垂涎のブルペン陣だが、彼らの来年度の年俸を見てみると、改めて「右のリリーバー」が弱点であることは否めないようだ。リリーフ陣の新年俸は岩崎優(34)と石井の2億円がトップで、岩貞祐太(34)と及川雅貴(24)が1億円、桐敷拓馬(26)は8500万円、そして湯浅の6000万円。

 しかし、ドリスがレートで1億円よりやや高い65万ドルで残留し、モレッタの推定年俸は100万ドル(約1億5600万円)と報じられていた。桐敷は24年に70試合、25年も43試合に登板した鉄腕だ。及川も今季66試合を投げ、防御率0.87と活躍した。つまり、2年ぶりのリーグ優勝に大きく貢献した両左腕よりも、年俸面ではドリスたちのほうが「上」と判断されたことになる。

「桐敷よりもドリスが上になったことに驚いたチーム関係者もいました。セ・リーグセーブ王のタイトルを獲った17年に比べ、球速は落ちているものの、150キロ近い直球を今も投げます。25年シーズンは新たに習得したスライダーを駆使するスタイルに変わり、対戦チームも戸惑っていました。来季はしっかり対策を練ってくると思います」(前出・同)

藤川監督との縁

 ところで、藤川監督とドリスは不思議な縁で結ばれている。13年、シカゴカブスで2人はともにプレーをしており、金本知憲監督が就任した16年シーズンからは阪神でもチームメイトになった。25年途中までドリスが所属していた独立リーグ・高知ファンティングドッグスも、藤川監督が2015年に入団していたなど、関係性も深い。

「ドリスの長い野球キャリアにおいて、25年の阪神リーグ優勝が、始めての優勝経験でした。燃え尽き症候群ではありませんが、彼のなかでひと区切りが着いたようで、阪神が『まだやれるから』と説得したとも聞いています」(チーム関係者)

「球団史上初の連覇を目指す藤川監督のためにも」の思いは、人一倍強いはずだ。その藤川監督のブルペン管理だが、「3連投禁止」といった明確なルールを決めるのではなく、各投手の状態を見ながら、連投させるのかどうかを決めている。

 来季、チーム最年長となるドリスがこのやり方に耐えられるのかどうかは疑問だ。26年の阪神は自慢の救援陣から崩壊する危険性もある。

デイリー新潮編集部

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