17歳アイドルに「だぁいすき」 未成年密会報道のSKY-HIを「パパ」と呼ぶファンも… 「ファミリー」売りビジネスの危うさとは
NENEとの「ビーフ」騒動も……BMSGブランドを二重に毀損した失態
今年6月にはラッパーのNENEさんが、「上辺のファンベースならいらねぇ レベル下げんなって I’m so high.SKY-HI 開く準備しとけパラシュート私がこの闇暴く」「子供騙した金で食べる寿司は美味いか?」など、SKY-HIさんやちゃんみなさんを指したと思われるリリックを含んだ「オワリ」を発表し物議を醸した。ラッパーと言いながらもHIPHOPの手法をいいとこどりしただけの商業主義に過ぎない。そんなSKY-HIさんら運営側への批判だったとされているが、HANAのファンを巻き込み大炎上。社長として矢面に立とうとSKY-HIさんが「0623FreeStyle」というアンサーソングを公開して応酬したものの、NENEさん側からはさらに「HAJIMARI」という反撃が続いた。
HIPHOPの文化に詳しい人から見れば、「ビーフ」の仕掛け合いであり、J-POP業界そのものに対する疑問提起でもあるというだろう。ただHANAやBE:FIRSTのファンは中高生など若年層が中心で、「怖いラッパーが因縁をつけてきた」と表層的に受け取ってしまうのも無理はない。HIPHOP文化の掘り下げどころかNENEさんへの誹謗中傷が激化し、結局「上辺のファンベース」の暴走に至ってしまったというのは皮肉なことである。
単なる「推し」ではない、わたしたちの「パパ」と「ママ」が攻撃されている。そうした感情に揺さぶられたファンを巻き込み広がった炎上の背景は、SKY-HIさんの結束力を前面に出した「ファミリー」的プロデュースと無関係とはいえない。ビーフ騒動を通してSKY-HIさんはHIPHOPへのリスペクトやラッパーとしての矜持を守ろうとしたのかもしれないが、「ファミリー」の外の人間にとっては「BMSG界隈ってなんか怖いし近づきたくない」というイメージダウンを招いてしまったのではないだろうか。
さらに今回の騒動によって、「父」どころか一人のアイドルと親密な男性であることがあらわになってしまった。それはSKY-HIさんを無条件に信頼し崇めてきた「娘」たちにとって、ひどい裏切りに映るだろう。酒だ女だメイクマネーだ、という、これまたラッパーに抱く負のイメージに上乗せしてしまったともいえる。
「ファミリー感」は武器にもなるが、使い方を誤れば一瞬で自らに向く刃になる。所属タレントから「父」と呼ばれていたジャニー喜多川氏の問題や、和田アキ子「ファミリー」の暴力が批判されるようになった経緯、プロデュースした女性と次々に交際し崩壊した「小室ファミリー」の歴史。いずれも共通しているのは、内部の論理が外の常識から乖離(かいり)していった点だ。「身内だから」「信頼しているから」という言葉は、ときに最も危険な甘言になる。
家族的であることと、プロとして適切な距離を保つことは、本来両立しなければならない。ラッパーとして、プロデューサーとして、常に「高み」を目指してきたSKY-HIさんだが、自らが作った山をどう越え直すのかが注目されている。
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