女性天皇容認「69%」の読売世論調査に「風は確実に吹いている」の声も…高市首相はどう考えるか
米報道官「日本の国家元首」
日本の天皇制は、事実上の立憲君主制だ。そのモデルを確立させ、「君臨すれども統治せず」のフレーズでも有名なイギリスで、70年間にわたって君臨し続けたエリザベス二世は「20世紀を代表する女帝」とも呼ばれる。即位は1952年。その治世下で、かつては大英帝国と称された英国初の女性首相にサッチャー氏が就任したのは1979年5月だった。
宮内庁の英語訳が「The Imperial Household Agency」ということもあって、天皇は「King(王)」ではなく「Emperor(皇帝)」だから、日本の皇室は「『世界最古の王室』ではない」と主張するヨーロッパの王国もあるが、天皇家の歴史は実在が裏付けられている継体天皇からでも1500年を超え、1000年の歴史があったエチオピアの王室を凌ぐため、皇室は広く世界で「最古の王室」と認知されている。
戦前・戦中の大日本帝国憲法は第4条で「天皇ハ国ノ元首」と明記したが、現行の日本国憲法は第1条で「天皇は、日本国の象徴」とするものの、元首とは明記していない。しかし、平成5年9月に公布されたカンボジア王国憲法は、日本国憲法の象徴天皇制を参考に「国王は君臨すれども統治せず」を原則とする立憲君主制を採用している。
平成21年11月には、来日した米オバマ大統領が天皇在位中の上皇陛下と面会した際、深々とお辞儀したことについて、帰国後「外国の要人に頭を下げ過ぎ」「歴代大統領で例がない」と批判されたが、国務省のケリー報道官(当時)は記者会見で「日本の国家元首と初めて会う際に敬意を示すことは、大統領にとって自然な振る舞いだ」と述べ、天皇は元首とする認識を示している。
新聞の世論調査の数字は、そのまま“額面通り”には受け止められないことは確かだが、世代を問わず女性天皇は“アリ”とする「風は確実に吹いているのではないでしょうか」(前出の宮内庁OB)。
上皇陛下は法律に規定がなかった生前退位を希望し、光格上皇依頼200年ぶりの上皇が誕生した。悠仁さまか愛子さまかという、安易な二者択一ではない。ただ、21世紀の日本に過去8人いた女性天皇が後桜町天皇以来250年ぶりに誕生するには、機は熟しつつあると感じている国民は決して少なくはないというのが、世論調査の数字にも表れたと見ることはできる。
男系男子の皇位継承を絶対視する神道政治連盟国会議員懇談会に名を連ね、保守を掲げる高市首相だが、平成18年1月27日の衆院予算委員会で「私自身は女性天皇には反対はいたしません」と述べている。読売新聞が11月に行った世論調査で高市内閣の支持率は72%。高市首相は世論調査と銘打たれたこれらの数字を、どう考えるのだろうか。
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