「西武の名古屋移転提案」で新庄監督が炎上…世間を騒がせた2025年プロ野球“問題発言”

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想定外の事態

 ライバルチームに本拠地移転を勧めるような発言をしたことが、批判の的になったのが、日本ハム・新庄剛志監督である。

 野球評論家・江本孟紀氏が自らのYouTubeチャンネルで、「名古屋の人口だったら、2球団あってもいけそう。あそこにパ・リーグがいると面白い」と西武の名古屋移転を提案したことがきっかけだった。

 これを受ける形で、新庄監督は3月11日、ロッテとのオープン戦の試合前に「江本さんがすごい良いこと言ってて。西武ライオンズが名古屋に行ったらいいんじゃないかと。やっぱりあのドーム球場(ベルーナドーム)、屋根だけあって夏めちゃくちゃ暑くて、冬めちゃくちゃ寒くて……遠い。でも、名古屋っていう場所は結構野球に熱心だし。中日見たらわかるようにね。名古屋の岐阜寄りの場所に土地があるから。そこに球場作ったらだいぶ選手たちも(移動に)楽になる」と西武の移転を支持するコメントを口にした。

 これに対し、西武本社関係者は「球場移転するなら球団を持つメリットがなくなる。身売りしろと言っているようなもの」と不快感を露わにした。

 ネット上でも「選手の健康を心配しているんだろうな、その上でフェアに戦いたい気持ちの表れかなと思う、新庄監督は野球が大好きなんだよ」と擁護する意見もあったが、余計なお世話ととらえたファンも少なくなかった。

「北海道の方が移動が面倒だろ」「西武ドーム(※ベルーナドーム)に文句言うのは問題ない 移転しろと発言したのは頭おかしい そういうのは監督辞めてから言え」「新庄は一言多いんだよ 球場の環境改善を要望するまではいいけど、移転云々まで他所様に軽々しく言っていい立場じゃねえだろ」といった非難の声が相次いだ。

 もともとは江本氏の提案だったのに、それに同調しただけで、あたかも提案者であるかのように矢面に立たされてしまうとは、新庄監督にとっても想定外の事態だったかもしれない。

“お断り発言”

 ポスティングによるメジャー移籍を球団に容認された直後、「世界一のピッチャーを目指す」という発言が、海の向こう、米国のSNSで炎上してしまったのは、西武・今井達也である。

 11月10日に日本の報道陣の前で、ワールドシリーズMVPに輝いた同学年のドジャース・山本由伸への強烈なライバル意識を発信したことが発端だった。

 会見の場で、今井は「(MVPに)感心している場合ではない。行くからにはワールドチャンピオンにならなければいけない」「自分が選手として行くとなったら、敵になるか味方になるかわからないが、選手として世界一のピッチャーを目指しているのは、たぶん一緒だと思う」ときっぱり言い切った。

 ところが、この“世界一発言”が米国のファンの間で顰蹙を買ってしまう。

「その自信はすごい!」と一部で称賛する声もあったが、大半は「生意気すぎる」「まだ実績ゼロなのに何を言っている」「MLBを舐めている」など、非難の声が相次いだ。

 また、代理人のスコット・ボラスが「彼は山本が成し遂げたことをすべて達成している」と明言したことも、逆風に拍車をかけることになった。

 11月19日に正式にポスティング申請が発表され、45日間の交渉期間に入った今井だが、その後、ドジャースについて、「ああいうチームに勝ってワールドチャンピオンになることが、自分の人生にとって一番価値がある」「あれだけピッチャーいたら(自分は)いらないでしょ、って思います」と“お断り発言”をしたことでも話題を呼んでいる。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新著作は『死闘!激突!東都大学野球』(ビジネス社)。

デイリー新潮編集部

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