竹下景子主演舞台の演出家が突如降板 “理論家気質”のはずが「パワハラをコンプラ窓口に訴えられた」
“時代の寵児”
12月に入ると、佐藤は自ら「A」であることを公式に認めた。その上で、「ジョルジュ」演出の降板を申し出たという。
演劇評論家が解説する。
「佐藤は昭和50年に初上演された『阿部定の犬』、その翌年に制作された『キネマと怪人』など、歴史的な出来事を通して社会を批判する舞台を作り上げた稀有(けう)な才能の持ち主。平成10年から21年までは東京学芸大学で教授を務め、一方で複数の公共劇場の開設にも関わっていた。世田谷パブリックシアターの芸術監督など、演劇界の大御所的な存在でありながら、市民に寄り添う演出家として一目置かれる存在だったのですが」
そんな彼が“時代の寵児”ともてはやされたのは半世紀近く前。昨今は演劇界に限らず、“指導”がハラスメントと見なされるケースは決して珍しくない。
「演出家は稽古場という密室空間で、絶対的な権力を持つ存在です。行き過ぎた発言や行為が許されないのは当然ですが、佐藤は声を荒らげることが少ない理論家気質の演出家だったはず。パワハラの話は2年以上前の件ということもあり、違和感を持つ演劇関係者もいるようです」
稽古場で灰皿が飛ぶ熱血指導も、いまは遠く……。
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