不況すぎて「後払い決済」急増、「借金地獄」の懸念も…トランプ氏「経済政策失敗」を埋め合わせる中南米攻撃も深刻な火種に
年末を前に“冷え込む”米国
年末を控え、米消費者の景況感はさらに悪化している。ニューヨーク連銀が実施した11月の消費者調査で「1年前に比べて家計の財政状況が悪化した」と回答した割合は前月から4.6ポイント上昇し、39%となった。2023年11月以来、2年ぶりの高水準だ。
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中低所得者ばかりか、株高などの恩恵を受けている富裕層の支出にも陰りが出ているという指摘もある。
クリスマスも盛り上がらない可能性が高い。AP通信とシカゴ大学が実施した世論調査によれば、約半数(48%)の米国人が「今年は例年より非必需品の買い物を控えている」と回答しているからだ。
国民の懐事情の厳しさが後顧の憂いとなるリスクも生まれている。年末商戦に入り、小売各社は消費者の購買意欲を支えるBNPL(後払い決済サービス)への依存を強めているからだ。ただし、BNPLの手数料はカード決済のそれよりも高い。このため、利用者の多くが今後、借金地獄に陥るのではないかとの懸念が広がっている。
国民の苦難はまだ続く。米連邦議会上院が12月11日、医療保険制度改革法(いわゆるオバマケア)の補助金が年末で期限切れとなる問題について、共和党と民主党の異なる法案をそれぞれが否決したため、来年1月から約2400万人の保険料負担が大幅に増える恐れがある。
トランプ氏への逆風は強いまま
国民の多くが日々の生活に苦労している中、ロイターが発表した最新の世論調査で、トランプ氏の支持率は11月の調査から3ポイント上昇し、41%となった。
トランプ氏が、関税収入を財源にして国民に1人当たり2000ドルを支給することや手頃な小型車の生産開始、50年住宅ローンの導入などの提案を相次いで打ち出したことに、共和党支持者が一定の評価を下した。
だが、トランプ氏への逆風は強いままだ。トランプ氏は9日、東部ペンシルベニア州で集会を開き、来年11月の中間選挙に向け、運動を本格化したが、「物価を下げろ」「給料を上げろ」と書かれたプラカードを掲げた参加者が散見される事態となっている。
トランプ氏が旗振り役を担っている人工知能(AI)についてもMAGA支持者の間で不満が高まっている。AIの運用に欠かせないデータセンターの莫大な電力需要のせいで電気料金がさらに上昇し、雇用の多くが失われるとの危機感がその理由だ。
MAGA運動の代表的存在であるスティーブ・バノン氏は、「AIを抑制せよ」と声高に主張し始めている。
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