なぜ前田敦子、大島優子らは紅白に集結? 単なる復帰ではない、AKB48黄金期メンバーが今、求められる意味

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1人の表現者として成熟

 だからこそ、今回の6年ぶりの紅白出場は特別な意味を持つ。それは単なる復活ではなく、ある時代の象徴が再び姿を現すということだ。AKB48のファンではない人でも、前田敦子、大島優子、指原莉乃といった名前は知っている。長い年月が過ぎたことで、同時代には批判の声が強かったAKB48が改めて見直され、再評価の気運が高まっている。

 前田敦子や大島優子は演技の道で活躍し、指原莉乃はプロデューサーとして新しいアイドルグループを手がけている。それぞれが卒業後に異なる道を歩んでいるからこそ、再びAKB48として集まることの価値が際立つ。今ではアイドルではなく1人の表現者として成熟している彼女たちが原点に立ち返ってステージに上がる姿には、成長の物語が重なって見える。

 音楽番組の視聴率が全体的に低下している現代において、紅白だけは依然として特別な存在である。その舞台にAKB48が再び登場することの意味は小さくない。かつての国民的アイドルを目にしてテレビの前で「懐かしいね」と言葉を交わす人々が全国に現れるだろうし、かつて応援していたメンバーの姿を見て心を震わせるファンもいるかもしれない。

 AKB48は単なるアイドルグループではなく、一つの時代の象徴であり、多くの人々の青春の一部だった。当時のメンバーが再び大きな舞台に帰ってくることで、人々は自分自身の過去とも向き合うことになる。

 すでにAKB48のOGメンバーは音楽番組やライブで現役メンバーと共演を果たしており、表舞台に立つたびに大きな話題になっている。そんな彼女たちが大晦日の大舞台でどんなパフォーマンスを見せてくれるのか。人々は国民的アイドルの新たな伝説が作られる瞬間を目の当たりにすることになるだろう。

ラリー遠田(らりー・とおだ)
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり 〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)、『松本人志とお笑いとテレビ』(中公新書ラクレ)など著書多数。

デイリー新潮編集部

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