中日監督が激怒した“幻弾”、ロッテの「プロ第1号」が相次いで消えた…2025年「幻のホームラン」に泣いた選手

スポーツ 野球

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プロ野球生活で1本ぐらい打ちたいなと思っていたので

 前出の上田同様、プロ1号が幻と消えたのが、同じロッテの友杉篤輝だ。

 8月26日のオリックス戦、1対0の4回、田村龍弘が左越え2ランを放った直後、1死無走者で打席に入った友杉は、カウント0-2と追い込まれながらも、椋木蓮の3球目、真ん中高めフォークを左翼ポール際に打ち返し、1度は本塁打と判定された。そして、これがプロ3年目で放った初本塁打になるはずだった。

 ところが、オリックス・岸田護監督がリクエストすると、打球がポールの外側を通過していることが判明し、ファウルに覆ってしまう。

 打ち直しとなった友杉は二ゴロに倒れ、この日は5打数無安打に終わる。

 試合は4対4で延長戦に突入し、10回に暴投に乗じて1点を勝ち越したロッテだったが、その裏、5番手・横山陸人がドラ1ルーキー・麦谷佑介にプロ初本塁打を浴びるという皮肉なめぐり合わせで追いつかれ、12回サヨナラ負け。4回の友杉のプロ1号がリクエストで覆らなかったら……と悔やまれた。

 だが、それから5日後の8月31日、友杉はソフトバンク戦の4回にリベンジの左越えソロを放ち、「ついに出ちゃいました。カウントも3-1だったので真っすぐだけ狙ってしっかり振りに行くことができました。プロ野球生活で1本ぐらい打ちたいなと思っていたので良かったです(笑)」と会心の笑顔を見せた。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新著作は『死闘!激突!東都大学野球』(ビジネス社)。

デイリー新潮編集部

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