「ビットコイン急落」要因は“トランプ氏の支持率低下”か 息子のマイニング企業は株価急落、業界との癒着には厳しい目が

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ビットコインを売って株式を買う

 トランプ政権下で絶好調だった暗号資産がピンチとなっている。

 暗号資産の代表格であるビットコインの価格は10月、過去最高値の12万6000ドル(約1950万円)を付けた後、先月は約8万1000ドルに急落した。時価総額は1兆ドル(約155兆円)減少したと言われている。

 その後、9万ドル台に回復したものの、弱気ムードは続いたまま。今後は6万ドルまで下がるという暗い見通しまで出ている。

 ビットコイン相場の不調の背景には構造的な要因がある。

 市場の最大の買い手であったビットコイン現物ETF(上場投資信託)は、11月に純売り手に転じた。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の先物取引量も、数年ぶりの水準に落ち込んでいる。

 暗号資産の不調を尻目に株価(S&P500)は過去最高値近くで取引されており、ビットコインを売って株式を買う動きが止まらない。

暗号資産市場を強気にしたトランプ氏

 暗号資産が逆風にさらされる状況下で、筆者が注目したのはノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマン氏の指摘だ。

 クルーグマン氏は11月下旬のニュースレターで、ビットコインの急落はトランプ米大統領の政治的影響力の低下と関係しているとの見方を示した。クルーグマン氏は以前からトランプ氏に批判的な立場を取ってきたが、ここに来てトランプ氏と暗号資産業界の関係についても言及した形だ。

 トランプ氏が暗号資産業界から多額の資金を受け取り、その見返りに政策的な支援を行ってきたことは米国で周知の事実だ。暗号資産に関する規制を緩和し、退職資金の暗号資産投資を認める行政命令に署名している。政府によるビットコイン保有構想も打ち出しているほどだ。

 このため、市場では「トランププット(トランプ氏が政策支援で相場を支える)」との期待が広がり、暗号資産市場は強気一色となった。

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