「ビットコイン急落」要因は“トランプ氏の支持率低下”か 息子のマイニング企業は株価急落、業界との癒着には厳しい目が
トランプ支持率とビットコインが“連動”
暗号資産への肩入れには“過去の苦い経験”が関係しているとの説が有力だ。2021年にトランプ氏が大統領職を離れると、一族は銀行から融資を拒否されたという。議会襲撃事件などが理由だが、銀行システムから締め出された恨みがトランプ一族を暗号資産へと駆り立てたというわけだ。
この企てが功を奏し、トランプ一族の資産は急拡大した。
トランプ氏の米大統領選勝利から1年。一族企業はこの1年で100億ドル(約1兆5500億円)規模の暗号資産ビジネスを立ち上げた。米国最大の権力者である大統領の一族が短期間でこれほど巨額の資産を積み上げたのは例がないことだった。
ビットコインの価格はトランプ氏の政治的成功の指標と化した感があった。だが、物価高などが災いしてトランプ氏の支持率が低下し、ビットコインの価格もこれに連動したとクルーグマン氏はみているのだ。
トランプ一族の暗号資産ビジネスも暗礁
トランプ氏の威光が陰る中、暗号資産市場の運用を司る米証券取引委員会(SEC)の委員長にアトキンス氏が就任した。前任のゲンスラー氏と異なり、同氏は暗号資産市場の成長に前向きだが、市況を回復させる大役を果たすのは厳しいだろう。
ビットコインを始めとする暗号資産価格の下落は、トランプ一家にとっても大打撃だ。多額の損失を被ったばかりか、トランプ・プレミアムが消滅したことで一族の暗号資産ビジネスも暗礁に乗り上げている。
トランプ一族は独自の暗号資産プロジェクトを開始したが、その多くがたちまち価値を失った。中でも深刻なのは、トランプ氏の息子2人らが共同で設立したビットコインのマイニング(採掘)企業「アメリカン・ビットコイン」だ。株価は急落し、倒産の危機が迫りつつある。
「弱り目に祟り目」ではないが、自身の利益相反を問題視する風潮が強まっていることもトランプ氏にとって頭の痛い問題だ。
暗号資産バブル崩壊に警戒感
野党・民主党は、トランプ氏と暗号資産業界の癒着ぶりを糾弾する動きを強めている11月下旬には、下院司法委員会でトランプ氏の暗号資産人脈に関する報告書を公表した。トランプ氏と一族が暗号資産業界から多額の献金を受ける一方、恩赦や規制当局の判断を通じて業界に便宜を図ってきたと報告書は指摘している。
民主党は「暗号資産腐敗終結法案」など複数の法規制も用意している。来年の中間選挙で民主党が勝利すれば、トランプ氏は暗号資産ビジネスが仇となり、窮地に追い込まれる可能性が高いのではないだろうか。
暗号資産バブルの崩壊は世界の金融システムにとっても脅威となりうる。ダボス会議で知られる世界経済フォーラムのボルゲ・ブレンデ総裁は11月上旬、金融市場で3つのバブル(暗号資産、人工知能(AI)、債務)が発生しており、最も警戒すべきは暗号資産だと警告を発した。
国際通貨基金(IMF)も11月中旬、暗号資産市場は2300億ドル(約36兆円)規模に達し、過去6年で70倍超に膨張したと指摘した上で、過剰なリスクテイクの状態となっているステーブルコイン(法定通貨に価値が連動する暗号資産)市場で異変が生ずれば、国債市場など多くの金融市場に悪影響が及ぶ恐れがあると警鐘を鳴らしている。
暗号資産の変調が世界の金融市場の動揺につながらないことを祈るばかりだ。






