高速バスを悩ます「相席ブロック」という難問…“キャンセル料金の値上げ”よりも効果的な対策を講じた業者に訊いてみた

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業界大手が相席ブロックとはほぼ無縁な理由

 バス会社も手をこまねいているわけではなく、キャンセル料金の値上げなどの対策に乗り出している。そんななかで、業界大手のWILLER EXPRESSでは、相席ブロックの問題が以前からほとんど起こっていないという。広報担当者に話を聞くと、その要因は、同社の予約のシステムやシートの特性にあるようだ。

「相席ブロックと思われる事案が業界で問題視されていることは、私どもも認識しています。しかし、当社ではほとんどそうした事案は発生していません。その理由として、当社ではキャンセル料金が出発の7日前から発生し、2日前まで30%に設定しているためです。

 当社のバスはほとんどがオリジナルシートです。“プライム”や“リラックス”などの4列シートは、隣り合う2席の間にパーティションや1席ごとにカノピーと呼ばれるフードを設けているので、プライベート空間が確保されています。また、4列シートでは女性専用席を設けています。隣席の方との接触を減らしてストレスを感じにくい工夫をしています。

 オリジナルシートなので快適性が高いですし、プライベート感が保たれている。そういった特性から、わざわざ相席ブロックを行う方が少ないと考えられます」

 WILLER EXPRESSといえば豪華仕様のバスが有名であり、1列×1列×1列の3列シートが多いイメージだ。ところが、実際は2列×2列の4列シートの車両が多くの割合を占めているのだという。4列シートというと窮屈なイメージだが、実際に同社のバスを利用してみると、かなり快適に過ごせる。こうした仕様が、相席ブロックを未然に防いでいるようである。

1人で2席を予約できる公式のサービスも実施

 WILLER EXPRESSでは、相席ブロックが起こる原因についても分析し、サービスに反映する意向を見せている。広報担当者がこのように話す。

「相席ブロックという事象が起こるということは、“隣に人がいてほしくない”というお客様のニーズが表れていると思います。こういった事象に対し、真摯に耳を傾ける必要もあると考えます。

 当社はコロナ前、一部の便と路線で隣の席が必ず空席になる“ダブルシートプラン”というものを販売したこともあり、現在も一部の路線で試験的に運用しています。需給バランス次第ではありますが、今後は“1人で2席を予約できるサービス”なども検討できるかと思います」

 夜行バスの需要は、近年急激な高まりを見せている。国内有数のバスターミナル「バスタ新宿」に行くと、平日でも人でごった返していることからもわかる。イベントやコンサートに向かう人たちは、夜行バスの利用者が多い印象だ。

「運行本数についてはコロナ前の水準に戻っていませんが、需要は回復してきている状況です。ホテル代の高騰や推し活需要なども影響し、高速バス全体の需要が高まっていると感じています」

 夜行バスは劇的に進化してきた。乗客のニーズを汲み取り、座席の改良は著しく進み、もはや長時間の移動が苦行ではなくなっている。かつての寝台特急のようなフルフラットの座席を備えたバスの運行が始まるなど、差別化が進んでいる。結局のところ、快適性と居住性を高めることが、相席ブロックの防止に直結する一番の対策なのかもしれない。

ライター・山内貴範

デイリー新潮編集部

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