“4523人分の冬のボーナス”が一瞬で奪われた「3億円事件」捜査の裏側…「ジェラルミンケースに万札が並んでいた」ワケではなかった!

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未解決ゆえに

 昭和を代表する重要未解決事件「3億円事件」に関して、編集部が入手した警察庁資料に記されているのは、以上である。

 動機、犯行手順、逃走経路、共犯者・協力者の有無(事件では単独犯、複数犯どちらともいわれている)、奪った金の使途……誰もが知りたい事件の核心は、犯人が捕まらない以上、何もわからない。資料にある簡潔な文章の行間・字間には、従事した捜査員たちの様々な思いが埋まっている。

 昭和50年12月10日、事件は時効を迎えた。特捜本部で最後のキャップとなった警視庁捜査第1課管理官の北野一男氏は、こう述懐している。

〈「発生時も雨だったが、時効の日も雨だった。最後まで涙雨を降らせやがてと思っていたら、深夜にはみぞれ雪になった」〉(前掲書)

 だが、時効後も、事件が忘れ去られることはなかった。

【第2回は「『あの事件は俺がやった』自称犯人まで現れた「3億円事件」の闇…伝説の刑事が“サンケイ新聞の購読者”を当たった理由」展開された大捜査の裏で起きていた意外な事実】

デイリー新潮編集部

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