「えみりの目が見えなくなる」と告げられて…辺見マリが“拝み屋”に5億円つぎ込んだ「洗脳地獄」の生々しすぎる記憶

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忍び寄る魔の手

 西郷が蒸発を繰り返すこと3回。その後、別居生活を経て、81年には離婚が成立した。両親と子供のために仕事に復帰。当所は「あの辺見マリが復帰」と話題になったが、仕事は先細りになり、スナックやキャバレー回りか、セクシーなイメージがまだついていたのか、アダルトまがいの仕事が増え、不安は募るばかり。辺見は苛立った。

 拝み屋一派がそんな辺見の心の隙間に入り込んだのは38歳の時。紹介したのはマネージャーだった。

 拝み屋を信用するようになったエピソードがある。拝み屋の女は、アメリカに帰った辺見の実父がフィリピンにいたことがあることを知っていて、それをさもピタッと当てたように語った。「まるで父があの世でしゃべっているような感覚」だったと語ったが、マネ-ジャーも含めてグルだったとわかるのは後のことだ。

「悪い厄がついている」とか「えみりの目が見えなくなる」と不安を煽られ、最初は1万円程度だったお礼の金額が、いつの間にか1000万円にハネ上がる。「神様の声が聞こえた。マカオに行かなければならない」と言われ、拝み屋のギャンブル資金2000万円を出したこともあった。マカオには3年の間に数回、出かけたという。

 ついには15歳でデビューしたえみりが、事務所からもらった契約金やギャラにも手をつけた。元々、辺見は貯金魔だった。切り詰めた生活を送っていたが、ついには自宅も売り払い、借金漬け、それらが積もり積もって「5億円!」を失った。
 
『空白の1095日』に興味深い記述がある。

 漫画家のはらたいらとの対談で「痩せたから今度はヌード写真集でも出そうかと思っています」と語っている。

 その言葉通り、翌93年に、豊満なボディに蛇を巻き付けた表紙で話題をさらった写真集「INFINITO」を出した。辺見は「今、出さないと芸能界でやっていけない」と半ば脅迫されて撮影、出版をOKしたそうだ。

「自分の肉体は先祖から受け継いでいる」

 この洗脳地獄から抜け出せたのは01年に14歳下の男性との再婚したのがきっかけだ(のちに離婚)。それまで、スキャンダルになるのを恐れて警察に相談するのをためらっていたが、意を決して駆け込んだ。

 生活が落ち着いたのは05年頃から。子供たちは早くに自立し、洗脳されていることを知っていたえみりは、何があっても母のことを見守った。両親との生活に戻ってからは介護、見送りと続き、仕事の中心はかつての歌手仲間と全国各地を回る「同窓会コンサート」になっていった。

 そんな中で語った「きれいごとでは語り尽くせない半生」。

 辺見は拝み屋に振り回された教訓をこう語った。

「大事なのは生活の根っこに、自分の肉体はご先祖様から受け継いでいるものだという意識を忘れないことです。こんな風に思えるのも『信じること』で大失敗したからかもしれません」 

 それにしても、強烈過ぎるザ・芸能スキャンダルだった。

峯田淳/コラムニスト

デイリー新潮編集部

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