2000年代を代表する名作「涼宮ハルヒの憂鬱」初の“聖地”公開…作品の舞台となった高校では「教員のなかにも熱狂的なファンがいます」

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 2000年代のライトノベル・アニメを代表する名作「涼宮ハルヒの憂鬱(以下、「ハルヒ」)」の舞台になった兵庫県立西宮北・西宮苦楽園高等学校が、11月23日、ファンや地域住民を対象に高校の内部を1日限定で公開する「北高・オープンハイスクール」を開催した。当日は事前に申し込みを行った1000人が来校し、思い思いに校内を見学した。

 同校は「ハルヒ」の原作者である谷川流氏の母校としても有名で、これまで多くのファンが見学に訪れていたが、校内の公開は実施していなかった。いったいなぜ、今回の公開に至ったのだろうか。今回のイベントを企画した校長・宮本美枝子氏、情報科の教員・上内伸一郎氏に話を聞いた。【文・取材=山内貴範】

史上初、「ハルヒ」ファンに学校を公開した理由

――「北高・オープンハイスクール」は宮本先生が計画されたそうですね。

宮本:当校が「ハルヒ」の聖地であることは、校長に就任する前から知っておりました。赴任後、校門前で写真を撮っている人を見かけるので、「どちらからお越しですか」と声をかけると、本当にいろいろな地域や国から来校される方が多いとわかりました。ほかにも、「学校の中に入らせてほしい」という問い合わせは多数いただいていました。

 あくまでも当校は教育活動の場ですから、校内を常時公開するわけにはいきません。とはいえ、毎回そのままお帰りいただくのも申し訳ないし、残念だなと感じていたのは確かです。そこで、今回のような企画を設ければ、多くの方に楽しんでいただけると思って実行に移したというわけです。

――宮本先生の強い思いがあったわけですね。

宮本:上内をはじめ、当校の教員のなかにも「ハルヒ」のファンがいます。だからこそ、教員もファンの気持ちがよくわかりますし、毎回お断りするのが申し訳ないと感じていたようです。そんななか、当校は兵庫県で行われる「発展的統合」の対象校になったのです。

上内:私自身「ハルヒ」が好きですし、せっかくなので、これを機に作品を活かした教育活動ができないかと思いました。ちょうど当校は、今年4月に西宮北高校と西宮甲山高校が統合し、西宮苦楽園高校として開校しました。現在はちょうど移行する時期で、校舎こそ残るものの、2027年には北高が閉校になってしまうのです。

 今、この時期に学校を公開すれば、2校の橋渡しになる意義深いイベントができると思いました。さらに、西宮苦楽園高校には、生徒が興味のあるテーマを探究的に学ぶ文理探究科という学科ができたのです。科の特性を生かし、ファンや地域のみなさんとのコミュニケーションの場ができればいいなと考えました。

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