2000年代を代表する名作「涼宮ハルヒの憂鬱」初の“聖地”公開…作品の舞台となった高校では「教員のなかにも熱狂的なファンがいます」
ファンや地域のみなさんとのコミュニケーションの場
――上内先生は「ハルヒ」がお好きだそうですが、宮本先生も原作を読まれましたか。
宮本:はい。私たちの年代はまだまだアニメやライトノベルへの理解が低いかもしれないのですが、本当に素晴らしい作品だと思いました。アニメの方はSNSで発信するとか、「踊ってみた」をやったりとか、ファンのみなさんが作品を盛り上げてアニメの方向性を変えた、記念碑的な作品ですよね。
「ハルヒ」を読むと、これは北高の卒業生だからこそ書けた内容だと思いましたし、生徒や保護者のなかにもファンがおられます。実は、毎年行われる学校祭(注:一般には非公開)で、PTAの展示ブースは「ハルヒ」関連の企画が定番になっているんですよ。
――それは初耳ですし、凄いですね。学校のなかでも「ハルヒ」が普及していると。
宮本:さらに、アニメの作中で笹に願い事を書くシーン(注:アニメ第2期・第8話の「笹の葉ラプソディ」のエピソード)があると思うのですが、七夕の時期に行われる学校祭で生徒に短冊を書いてもらい、近くの神社でお炊き上げをしていただくイベントもあります。いわば、アニメを再現したような行事をPTAが実施しているんですよ。
――そういった環境が既にあったからこそ、公開が検討できたわけですね。企画を実行に移されたのは、いつ頃なのでしょうか。
宮本:具体的に動き出したのは今年の4月ですが、2023年の5月頃、東京方面に出張した際にKADOKAWAさんにアポを取って、担当者の方とお会いし、相談しました。何をするかまでは決まっていなかったのですが、探究的な学びを取り入れた学校にしていきたいので、「ハルヒ」を使ってイベントや地域の方にお役立ちする企画を行いたいとお話ししました。
上内:その後、私が生徒と話し合いながら、実際の企画の内容を深めていきました。ちょうど、当校にはDX部という部活動もあるのです。DXをコンピューターだけに使うのではなく、今回の活動にも応用できないかと。生徒がアニメの画像を使ったARを作成するなど、イベントを通して様々な学びの機会を得られるように工夫しました。
「ハルヒ」は谷川流さんが残した素晴らしい贈り物
――私も校内を回りましたが、学校と地域のみなさんが歓迎してくださっているのが印象的でした。
宮本:文理探究科とDX部の生徒が中心となって、来校者のみなさんの対応に当たっています。受付はサッカー部、放送は放送部の担当で、先生たちはこの日のためのボランティアです。ほかにも、地域の自治会のみなさん、PTAなど生徒の保護者のみなさんもボランティアで協力してくださっています。
高校が「ハルヒ」ファンの皆様や地域の方々から愛され、慈しんでいただけることは生徒にとっても大きな糧になると思います。私も校長として、心から嬉しいですね。何より、ファンの方、地域の方と接することで、生徒は学ぶことが多いはずです。
――先生方の思いがしっかり形になったイベントだと思いました。
宮本:北高は閉校になりますが、みなさんの記憶の中に残り続けると思います。「ハルヒ」の谷川流さんは、本当に生徒に素晴らしい贈り物を残してくださいました。北高の卒業生のみなさんが様々な生き方をして、社会に貢献しているのも、北高の大切な歴史だと思います。今回のオープンハイスクールは初めての試みでしたが、好評でしたら、ぜひとも次につなげていきたいと思っています。
第2回【名作アニメの舞台で学生生活を送るのは「在校生の特権です(笑)」…「涼宮ハルヒの憂鬱」の聖地「西宮北高校」の公開イベントに行ってみた】では、「西宮北高校」の公開イベントの様子や、海外から訪れた見学者の感想などを詳細にリポートする。

















