「トランプ氏」支持率36%に低下で“2期目の最低値”更新 生活苦にあえぐ米国民が「NO」を突き付ける日
下院の勢力図が変わる可能性
「弱り目に祟り目」ではないが、共和党内の不協和音も気になるところだ。
米政治専門メデイア「ポリティコ」による調査で、昨年の大統領選挙でトランプ氏に投票した有権者のうち3分の1以上が、自身をMAGA(米国を再び偉大に)共和党員とみなしていないことが明らかになっている。共和党は一時、MAGA一色となった感があったが、生活の豊かさを実感できなければ、トランプ氏は用なしと言うことなのだろう。
強固なトランプ支持層にも動揺が生じている。そのきっかけは、次期ニューヨーク市長・マムダニ氏とのやりとりだった。強硬な姿勢で臨むと予想されていたトランプ氏が、友好的なやりとりに終始したことは予想外だった。MAGA系の有力者は会談の評価を控えているが、怒りの標的を失い、さぞや落胆していることだろう。
トランプ氏に忠誠を誓っていた連邦議会議員の離反も心配だ。トランプ氏の熱烈な支持者だったマージョリー・テイラー・グリーン下院議員は21日、来年1月に議員を辞職すると表明した。性的人身売買で有罪判決を受け、後に獄中死したジェフリー・エプスタイン元被告に関する政府文書の公開を巡る対立が直接の理由だが、グリーン氏はワシントン政治にも強い憤りを感じていた。
米国民が生活苦に悩んでいるのにもかかわらず、トランプ氏はこれに手を差し伸べないばかりか、米国の税金を外国の戦争に使われていることを止めようとしない。このような状況では連邦議員にとどまる意味はないというわけだ。
グリーン氏の辞任に追随する動きが出ており、共和党優位の下院で勢力図が変わる可能性も排除できなくなっている。
「MAGA=トランプ」ではなくなった?
トランプ氏のベネズエラに対する強硬姿勢も火種となりつつある。第1次トランプ政権の首席戦略官で今なおトランプ氏と関係が近いスティーブ・バノン氏は、ベネズエラから反米政権を追い出し、パナマ運河やカリブ海から中国の影響力を排除せよと主張する。
だが、ランド・ポール上院議員(共和党)は警鐘を鳴らしている。ベネズエラ攻撃は国内政策に集中すべきだとするグループから猛反発を招き、MAGAを始め共和党内の分裂が進むだけだという主張だ。
このような状況を踏まえ、米アメリカン大学のギャレット・マーティン上級講師は、既に「MAGA=トランプ」という構図ではなくなっていると指摘。トランプ氏の支持率が回復しなければMAGAの亀裂はさらに深まると予測する。
自身の創造物(MAGA)を制御できなくなったトランプ氏は、自らが作った怪物によって破滅に追い込まれるフランケンシュタイン博士と同じ運命を辿るのかもしれない。いずれにせよ、悩める超大国の今後の動向について、引き続き最大の関心を持って注視すべきだ。
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